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DXの潮流、CDOの挑戦
2019.12.11

アフラック生命保険

生命保険事業の特性を活かしたDX推進とは

アフラック生命保険株式会社 上席常務執行役員 チーフ・インフォメーション・オフィサー 二見 通 氏

AIを活用した電子マニュアルの導入で業務時間を30~40%削減

 アフラック生命保険には、これまで部署ごとに数多くのマニュアルが存在していました。各部門はWordやExcel、PowerPointなどを使って個別にマニュアルを作成しており、統一されていませんでした。

「1つの電子マニュアルシステムに置き換えることも考えましたが、膨大なコストと時間がかかるため断念しました。既存のドキュメントを活かした解決策を模索する中で、今回導入したAIを装備した電子マニュアルシステムを考え出しました。このシステムは、ドキュメントがWordやExcel、PowerPointなど異なるファイル形式でも、または保存先のプラットフォームが違っていても、横串で情報を統合/検索できます。特に便利なのがキーワード検索をしたとき、ヒット率の上位順に関連項目を表示してくれることです。また、AIが実装されているので、使えば使うほど精度やスピードが上がり、自分専用の電子マニュアル検索システムが育っていきます。このシステムを4月に導入したところ、9月時点でマニュアルの検索時間を30~40%も効率化することができました」

 一方、世の中には業務効率化を目指して導入したソリューションが機能せず、逆に生産性を落としてしまうケースも存在します。アフラック生命保険も、かつて導入したRPAが機能せず苦労したエピソードを話してくれました。

 「かなり早い時期にRPAを導入したのですが、まったく生産性が上がりませんでした。1つの業務で得られる削減効果は0.25人/月とか、砂漠にジョウロで水をまくようなレベルの効果でしかありませんでした。原因は、既存業務/プロセスをそのままに、RPAを導入してしまったことにありました。まずは導入前に業務自体を見直して必要な改善を行ってからでなければ、RPAの効果は上がらないのです。

 最初の1年は相当苦労しましたが、コストとベネフィットを事前に見極めることにより、またRPAを導入するプロセスをしっかり選ぶようになってからは成果も出始めました。結局、RPAの導入を目的化していたことが失敗の原因でした」

 DXの推進には、RPAやAIなど先進的なソリューションの導入が欠かせませんが、導入後の効果を上げることは簡単ではありません。ソリューション導入に失敗しないコツについて尋ねると、二見氏は笑顔で「失敗してもいいんですよ」と話してくれました。

「当社は、ウォーターフォールからアジャイルへとオペレーションモデルの変更を進めているのですが、アジャイルの場合、失敗を恐れて足踏みするより、MVP(Minimum Viable Product:お客様に価値を提供できる最小の製品)を定義し、小さく始めて、その後、方向修正する方が結果的に早く正解にたどり着けます。もちろんリスクは認識し防止策も検討しますが、ノックアウトファクターでなければ、とりあえず一歩をスタートさせることが重要と考えています。特にわたしの場合、リスクが40%あっても60%の確証があればGoサインを出します」

 

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