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ウォルマートに学ぶ、非デジタルネイティブ企業がDXする方法
2020.08.07

ニューノーマル時代にビジネスはどう変わるのか第6回

ウォルマートに学ぶ、非デジタルネイティブ企業がDXする方法

著者 田中道昭

デジタルな時代だからこそ、店舗に新しい意味を持たせる

 それではウォルマートは、具体的にビジネスをどう変えていったのでしょうか。

 その戦略を以下にまとめましたが、すべてを紹介するときりがないので、本記事では「店舗」「生鮮食品」「人材」の3点に絞って紹介します。

 まずは「店舗」ですが、ウォルマートでは“店舗の定義”をアップデートし続けています。もちろん店舗である以上、小売のための店舗という定義は変わりません。しかしウォルマートでは、店舗を「自社ECの倉庫」や「配送拠点」、「ECのストアピックアップ」(顧客がECで注文したものを受け取りに来ること)として活用しています。

 例えば、ウォルマートは、ECで注文した食料品を店舗に取り置きすることができるOGP(オンライン・グローサリー・ピックアップ)を展開しています。

 店舗で品物を選んで会計したり、運ぶ手間がないOGPは、食料品を定期的に「買いだめ」することが多いアメリカの顧客には、非常に便利なサービスです。ウォルマートはこのOGPを2019年末までに3,100店舗まで拡大し、そのピックアップにあたる従業員5万人の雇用を生み出しました。

 ウォルマートがマーケットから評価されているのは、このように店舗を「オムニチャネルのツール」として活用するビジネスを展開できているからです。リアル店舗をからめたオムニチャネル戦略は、小売業がECに対抗しうる手段の一つです。

 ウォルマートではこれに加えて、「生鮮食品」戦略のアップデートも行っています。

 ウォルマートとアマゾンを比較した時、ウォルマートの強みは「生鮮食品」にあるといえるでしょう。青果や精肉などの生鮮食品は、日用品などに比べて品質保持の期限が短く、顧客は「新鮮さ」を求めます。店舗を持つウォルマートは、小売店ならではの生鮮食品在庫の回転率の速さで、食品の鮮度を担保できます。ウォルマートにとって、店舗は自社ECにおける「生鮮食品の倉庫」でもあります。前述のOGPがマーケットに受け入れられている理由もそこにあります。

 生鮮食品は、アマゾンもずっとターゲットにしていました。しかし、ECだけではうまくいかず、結局2017年、実店舗のスーパーマーケットチェーン「ホールフーズ・マーケット」を買収した経緯があります。

 ウォルマートはさらに、ウォルマートで働く「人材」についてもアップデートしています。具体的にいえば、テクノロジー人材の採用に注力、およびデジタルを使った社員教育の実施などです。

 例えば、2016年にはECサイトのベンチャー企業であるジェット.comを買収し、その共同創業者マーク・ロア氏をEC事業のCEOに任命したのをはじめ、ほかECサイトの運営企業を次々と買収し、そのエンジニアを大量に獲得。それら人材の知見を、店舗オペレーションのデジタル化や社員教育にも活用しています。

 店舗の従業員向けアプリでは、商品が店舗に配送されてきたり、棚から欠品している場合に自動で通知されたり、売れた商品の個数をリアルタイムに把握することなどができます。商品ピックアップなど従来業務の手間が省けるこれらのITツールは、店舗の従業員にも受け入れやすいものです。現場がITツールに習熟すれば、OGPなど新しいオペレーションが発生するサービスをスムーズに展開できる土壌にもなります。

 同社では、このように現場に受け入れられるITツールを開発するため、エンジニアが店舗に入り込み、使い勝手など現場の声を反映しながらトライアル&エラーを繰り返しています。ウォルマートではこれらにより、スタートアップ企業で重視されているような、スピード、柔軟性、アジャイル的な仕事の仕方(まずはやってみて高速でPDCを回す)を、企業カルチャーに採り入れようとしています。

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