2020.08.05
ニューノーマル時代にビジネスはどう変わるのか第5回
With/Afterコロナの時代に、オフィスは不要か? 必要か?
著者 河野 ゆみこ
「オフィスは必要」と主張するIT企業も
このような“オフィス不要論”の声が高まる一方で、「オフィスは必要」と主張する声もあります。
ゲームや広告、ウェブサービス事業などを手掛ける面白法人カヤックの柳澤大輔社長は、インタビューにて、「オンラインでは情報が抜け落ちる」「人間関係ありきで仕事をしている」という理由から、“フルリモートにはしない”と明言。6月よりスタッフのオフィス出勤を再開しています。社内のレイアウトは座席を人と人とが向かい合わないよう変更、定期的な換気をする社内ルールを追加するなど、感染症対策を取っています。
GMOインターネット株式会社の熊谷正寿代表取締役会長兼社長は、インタビューにて“企業の信用度やブランド力、他社との差別化のために、一等地のオフィスを持つ意義は長期的に見て大きい”と発言。同社は現在、在宅勤務とオフィス出社の“ハイブリッド”勤務体制となっており、従業員が密集するのを防ぐため、社内をフリーアドレス化しているといいます。
注目すべきは、この2社がIT企業である点です。IT企業というと、比較的働き方の自由度が高く、“オフィス不要論”を積極的に提唱してもよさそうですが、この2社は自社のビジネスを遂行するために、むしろオフィスは必要である、というメッセージを強く打ち出しています。
先に挙げたSansanやさくらインターネットでも、オフィスを縮小したものの、完全に無くしたわけではありません。オフィスは、従来とは規模が縮小されようとも、良質な事業活動を進めるためには、コロナ後も重要な存在であることがいえそうです。