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DXの潮流、CDOの挑戦
2021.07.16

ニューノーマル時代にビジネスはどう変わるのか第30回

企業にCDOが求められる3つの理由

著者 三谷 慶一郎

 あらゆる企業においてDXは既に共通的な経営課題となっています。このような中で、DX推進のための最高責任者として、「CDO(Chief Digital Officer)」に注目が集まっています。

 CDOは、2010年代前半頃から海外企業を中心に使われ始めた比較的新しい役職です。日本情報システム・ユーザー協会が2020年に実施した調査によれば、国内企業におけるCDOの設置率は6.5%と、増加傾向にはあるもののまだまだ限定的な設置状況にあるようです。ただし売上高1兆円以上の大企業に限ればCDO設置率は既に40%を超えています。

 この調査結果によれば、業種としては金融機関や電気・ガス・通信業といった社会インフラ関連企業において設置が先行しているようです。また、CDO設置済みの企業の方がそうでない企業に比べて、単純な業務の自動化に留まらない高いレベルのデジタル化を実現しているという指摘もなされています。

 ただし、新しい役職ということもあり、CDOの定義についてはまだ定説はありません。似たような役職として、CIO(Chief Information Officer)というものもあり、CDOの導入に踏み切れていない企業もあるかもしれません。

 それではCDOを設置することで、企業はどのような変革を生み出せるのでしょうか?
本稿では、企業においてCDOが必要になる理由について述べていきたいと思います。

CDOを設置する理由1:既存ビジネス維持と矛盾する「新規ビジネス創造」を行うため

 よく聞かれる質問に「CIOがいればCDOはいらないのではないか」というものがあります。個人的には、双方の役職が必要だと考えています

 1960年代から始まった企業における情報システムの活用は、そのほとんどが今存在しているビジネスをより効率化・省力化することが目的でした。しかし、技術発展の結果、今ではデジタル技術は、新しいビジネス(デジタルビジネス)を生み出すための道具になっています。DXとは、このような新しいデジタルビジネスに対応できるように企業を大きく変革させることだとも言えます。

 既存ビジネスを効率化していくというアプローチと、新しいビジネスを立ち上げるアプローチは、かなり矛盾する要素を含んでおり、その両方をCIOがひとりで担うことは難しいでしょう。従って、前者のアプローチを担当するCIOとは別に、後者の主体となるCDOが必要になります。

 例えばCIOは、既存ビジネスを熟知している社内現場の要望を正確に汲み取りながら情報システムを構築するために汗を流しますが、CDOには要望は何も与えられません。自らが顧客を含む社会全体から解くべき課題を探し出し、それを起点にしながら新しいサービスを創り出すことに全力を尽くします。

 また、CIOは既存ビジネスのパフォーマンスを低下させるような、情報システムの信頼性や安全性の低下を可能な限り避けようとします。そのために、情報システムを運用開始する前にあらゆるリスクを排除することを重視します。一方、CDOの行う新しいサービス創造に関するリスクは、事前に全て把握することは困難です。ある程度のリスクを許容しながら進めていくしかありません。

 このような矛盾があるからこそ、新規ビジネス創造に特化したCDOという役割が必要になるのです。

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