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DXにコラボレーションが必要な理由
2021.02.26

ニューノーマル時代にビジネスはどう変わるのか第21回

DXにコラボレーションが必要な理由

著者 三谷 慶一郎

「共創」という言葉で代表されるように、自社以外の企業とコラボレーションを行うことは、DXを推進する上でとても重要です。

 複数の企業が連携してビジネスを推進していくことは、従来からよく見受けられます。たとえば「戦略的提携(ストラテジックアライアンス)」という言葉もよく使われます。今までの企業間提携は、お互い保有している技術を融通しあったり(技術提携)、生産や製造といった業務を一緒に行ったり(生産提携)、それぞれの商材をお互いの顧客に売ったり(販売提携)することが多く、ビジネス上のコスト低減やリスク軽減が目的だと言えます。

 一方、DX推進における企業間のコラボレーションには、従来とは異なるメリットが存在します。

コラボのメリット(1)イノベーション創出の可能性向上

 他企業とコラボレーションすることのメリットとして、まずは単一企業でチャレンジするよりも、イノベーション創出の可能性を向上させるということがあげられます。

 なぜイノベーションが生まれやすくなるか、それは「多様な価値観を取り入れられる」ことと「最終消費者との接点を取得できる」ためです。これらについては、以前「外部と関われない企業は、新しいビジネスを創り出せない?」で取り上げました。今回は、それぞれもう少し詳しく述べていきます。

 日本の企業には、終身雇用制度がまだまだ根強く存在し、社会全体としての雇用流動性は決して高くはありません。結果として多くの企業において同質的な文化が形成されやすく、同じような価値観を持つ人々が多くなります。

 この環境は、既存ビジネスを効率的に進めていくためには適しているのですが、新しいデジタルビジネスに結びつくような、新しい課題の発見やその解決のヒントを得るためには、できるだけ多様性のある様々な視点から考えることが必要になります。自社固有の価値観を打破するような新たな価値観を取り入れられることは、DXにおけるコラボレーションの大きなメリットなのです。

 デンマークなどで発展している「フューチャーセンター」をご存じでしょうか。これは、様々な社会課題を解決するための糸口を見つけ、新しいアイデアを考え出すための施設です。フューチャーセンターが重視しているのは、課題の関係者を幅広く集め、対話を行うことです。立場の異なる人々とのコミュニケーションが新しいイノベーションにつながるわけです。同じような効果が、企業間のコラボレーションにおいても期待できるといえます。

 また、「最終消費者との接点を取得できること」もイノベーション創出につながる重要な要素です。解くべき課題は、最終消費者が存在している場所そのものに存在します。(デジタルビジネスを検討する上でよく活用される「デザイン思考」の考え方でも、「現場観察(エスノグラフィー)」が重視されています。)加えていうなら、現在のような不確実性の高い経営環境においては、最終消費者の行動が変化する兆しをいかにしてリアルタイムに掴むかが従来以上に重要になります。

 日本に多く存在するB2B企業には、自社ビジネスの延長上にある最終消費者の様相を何とかして把握したいというモチベーションが生まれています。ここにB2B企業とB2C企業とのコラボレーションのメリットがあるわけです。

 トヨタが2018年に発表した自動走行EV「e-Palette」のコンセプトや、それに続く実証都市「Woven City」の内容を見ると、メーカーとして新しい自動車を作って消費者に購入してもらうビジネスではなく、他社のECサービスや、シェアリングサービス、ケータリングサービスなどに、自動車というデバイスを溶け込ませ、一緒に新しいサービスを提供することを目指しているように見えます。これもひとつの「B2B2C」というコラボレーションの在り方だといえるでしょう。この形での企業間コラボレーションは今後も増えていくと思います。

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