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ビジネスリーダーは、DXサービスを「完成品」と見なす感覚を捨てるべし
2021.01.22

ニューノーマル時代にビジネスはどう変わるのか第16回

ビジネスリーダーは、DXサービスを「完成品」と見なす感覚を捨てるべし

著者 三谷 慶一郎

 コロナ禍によって社会活動における移動や接触が制限されることにより、企業のビジネスあるいは産業全体が大きな打撃を受け続けています。そして残念ながら、まだしばらくこの状態は続きそうです。

 当然ながら、デジタルの力を大いに使う必要がありますが、これだけの大きなインパクトに対抗するためには、今行っているビジネスを、多少効率化したり改良するくらいでは不十分でしょう。

 このような状況でビジネスリーダーの方に伝えたいのが、2021年という新しい年を、新しいDXサービスを創り出す年にしてはいかがでしょうか。決して容易なことではありませんが、私は今の環境が、新しいサービスを創造するためには最適ではないかと考えています。

解くべき課題は目の前にある

 近年の日本企業は、残念ながら新しいサービスを生み出すことを得意としていません。

 高度成長期においては、既存のモノを、高品質・低価格でつくるということが企業価値の源泉でした。企業には当然ながらこの「既存のモノ」を効率化することに特化した組織や人材が実装されています。そして、それがそのまま「新しいコト」を創り出すことに対する障壁になってしまっていることは間違いありません(このことは、前回「デジタル技術の急速な発展にも追従できるDX人材・DX組織とは?」で詳細を述べています)

 もう少し言い方を変えると、企業組織の中、特に大きな組織にいる人は、「課題を発見しづらい環境にいる」とも言えます。成熟している企業組織においては、組織ごとに固有のミッションが設定されていて、組織内に所属している限り、そのミッションに関連することしか見る必要がなくなります。ミッションに直結する目の前の困りごとにのみ対応することは、「改善」にしかつながりません。大きなイノベーションにつながるような課題を組織内から見出すことはそもそも難しいのです。

 そのような課題の探索は、利用者・生活者の周辺から始めることが鉄則のひとつなのですが、多くの企業では先に挙げた通り固有のミッションに集中しているため、利用者・生活者から日々生まれ続ける課題からは、かなり距離ができてしまっています(B2B企業は特にそうですね)。さらにいえば、日本に多くある製造業というビジネスモデルは、モノを利用者に売り渡した瞬間に完了してしまうので、実際にモノがどのように使われているのかという利用者の姿が見えにくい性質を持っているということも関係します。

 しかし、今私たちは皆コロナ禍の中にいます。極めて明確でかつ世界共通の巨大な新しい社会課題が目の前に存在しているのです。

 解くべき課題を発見するのに困る必要はありません。新しいDXサービスを考えるには最適な環境だと言えます。新型コロナそのものを撲滅することはできないにしても、デジタルの力でこの困難な状況での社会活動をサポートするサービスを考え始めるべきだと思います。

 実際、この1年の間に私の周囲でも、コロナ禍に対応するためのサービスを掲げたスタートアップ企業がいくつも生まれ始めています。世界を見渡すとコロナ禍に対応するためのサービスは急激に普及し始めています。

 例えば、企業等の面接をオンラインで行うソリューションが拡大しつつあります。「HireVue」というサービスでは、単に、カメラとマイク越しにコミュニケーションを取るだけではなく、面接者の声、話の内容、表情などをAIが読み取り、その特徴から当該企業の求めるポテンシャルのある人材を選別する支援を行うこともできます。

 オンラインジム、つまり自宅で運動を行うというジャンルでも、「MIRROR」というサービスが流行しはじめているようです。これは自宅に専用の鏡型デバイスをセットして、ネット経由で、自宅にいながら個人トレーニングなどのサービスが受けられるものです。流行っているサービスはいずれも、単にリアルの代替を行うだけではなく、デジタル特有の付加価値を提供するものが多いように見えます。

 ちょうどリーマンショックの直後からフィンテックの様々なサービスが生まれてきたようにコロナ禍を吹き飛ばすような素晴らしいサービスがこれからもたくさん生まれてくるに違いありません。

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