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トヨタが「Woven City」で狙うのは、DXのプラットフォーマー
2020.11.18

ニューノーマル時代にビジネスはどう変わるのか第12回

トヨタが「Woven City」で狙うのは、DXのプラットフォーマー

著者 田中道昭

マイナンバーの苦戦に、スマートシティの課題がある

 ここまで、トヨタのスマートシティの取り組みとその狙いについて分析してきましたが、私の考えとして、スマートシティをはじめとするDX推進で強調したい課題があります。それは、「システム(利便性)」「プライバシー(個人の尊厳)」「セキュリティ(安全性)」の三位一体のバランスが重要だということです。

 そのことにおいて現在注目されている言葉が、「eKYC(electronic Know Your Customer)」です。これはスマホなどで行われるオンラインでの本人確認のことですが、どこまで厳密に本人確認を行うのかは議論すべき課題です。

 オフラインでの本人確認は、パスポートや免許証など写真付きの公的な身分証明書がよく使われます。この場合、免許証の現物は1枚しかなく、本人だけが保有しています。しかしオフライン本人確認(eKYC)の最大の課題は、サービスなどのアクセス先にも個人情報が流れていくことです。

 マイナンバーがなかなか普及していない理由のひとつとして、システムの利便性とプライバシーを守るためのセキュリティの周知が一体となっていないからです。たとえば、韓国は地方自治体のセキュリティシステムが進んでいて、システム上の個人情報アクセスにはすべてアクセスログが記録され、第三者による不正なアクセスは罰せられるうえ、自らの個人情報へのアクセスも各人がシステム上でチェックできるようになっています。

 政府は、スマートシティにおいて、将来的にマイナンバーに税務や資産に関する情報、電子カルテに至るまでのさまざまなの情報を紐づけて、オンライン上でつなげたいと考えています。そうなると不可欠なのがシステム上でプライバシーを守るためのセキュリティの担保です。

 このような課題がありつつも、スマートシティのプラットフォーム実現への取り組みは、グローバルで見ても期待が持てます。自動車産業をはじめ「モノづくり」はやはり、日本がグローバル競争を勝ち抜くための活路です。DX推進につながるスマートシティのプラットフォームを実現すること、そして、「システム(利便性)」「プライバシー(個人の尊厳)」「セキュリティ(安全性)」の三位一体のバランスを図っていくという方向性の中に日本企業が優位性を発揮する機会があると思います。

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