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トヨタが「Woven City」で狙うのは、DXのプラットフォーマー
2020.11.18

ニューノーマル時代にビジネスはどう変わるのか第12回

トヨタが「Woven City」で狙うのは、DXのプラットフォーマー

著者 田中道昭

 トヨタ自動車(以下、トヨタ)はスマートシティ実現のため、2021年にトヨタ工場跡地に、実証都市「Woven City」の着工を目指しています。

 立教大学ビジネススクール田中道昭教授は、この動きについて「トヨタは、スマートシティで“あらゆる産業のテクノロジーが凝縮されたDXのインフラ”を作ろうとしている」と分析。田中教授がその理由を解説します。

なぜトヨタは、自前でスマートシティを進めるのか

 自動車産業を発端に、あらゆる産業を巻き込む「ゲームチェンジ」が起きようとしています。5Gによる自動運転、ガソリン車からEV車(電気自動車)へ、MaaS、ライドシェアなど、次世代自動車産業は“クルマ×IT×電機”でステークホルダーが複雑に絡み合い、国内外を横断したビジネス競争がいたるところで起こりつつあります。自動車、IT、電機・電子、通信、電力・エネルギー、そのサプライチェーンやサービスに関わる企業も含めれば、どの産業の企業も無関係ではありません。トヨタの豊田章男社長は、2年くらい前から「これからは生きるか死ぬかだ」といった危機感をあらわにしています。

 そういった中でトヨタは、今年の1月にラスベガスで開催された家電・ITの見本市であるCES2020で「Woven City」構想を発表しました。「Woven City」は、静岡県裾野市の工場跡地にトヨタが独自で作ろうとしているコネクティッド・シティです。トヨタの従業員やプロジェクト関係者など約2000人が暮らす街の中に、完全自動運転で排出ガスゼロのモビリティの走行をはじめ、室内用ロボットの検証やセンサーデータのAI分析による住民の健康状態チェックなど、モビリティに留まらない、新たな技術を検証できる実証都市となっています。

 私は毎年CESに行っていますが、トヨタの「Woven City」は、米中のメガテック企業を含む中でも、今年最も大胆なビジョンを示したと思います。特筆すべきは、スピード感です。これまでの日本企業であれば、「10年後にやります」「2030年を目指します」といったものが、「来年やります」と宣言をしています。

 世界的にみるとスマートシティのプロジェクトは、政府が主導する中国やシンガポール、Googleが関わるカナダトロント市のプロジェクト(すでに頓挫)などで先行事例があります。アリババの本拠地である中国・杭州市を視察しましたが、海外で構想されているスマートシティの多くが、すでに実現されています。CESでのトヨタの発表は、そういった中国のスピード感を確実に意識していますし、現状の国内のデジタル化に対して強い危機感を持ち、迅速に実行することへの決意の表れといってよいでしょう。

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