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製造業がDXを進めるために、現場はなにから始めるべきか?
2020.09.23

ニューノーマル時代にビジネスはどう変わるのか第10回

製造業がDXを進めるために、現場はなにから始めるべきか?

著者 輿水 大和

避けられない現場のデジタル化、なにから始めるべきか?

 とはいえ、こういった“攻撃的なIT投資”への検討は、現場の生産技術者だけではなく、生産技術を取り巻く開発部隊や技術研究部隊を取り込んだ大がかりなプロジェクトになります。現場の人たちだけでは、アイデアを実施段階に持っていくことは困難。組織の決裁者、会社の経営層をいかに巻き込んでいけるかが今まで以上に重要になります。

 企業によっては、現場から経営層にいくら働きかけても、「馬耳東風」の状態であったり、逆に現場が「笛吹けども踊らず」といった状態もあります。その状況を打開するには、まず業務効率化など身近な現場課題をデジタルで解決する事例を探していくことです。

 例えば、私が携わっている国内最大手の時計メーカーでは、機械式時計で使用する螺線状の精密部品の品質評価を、現場作業員による目視検査だけでなく、AIによる画像解析を活用して効率化するプロジェクトが進んでいます。 

 このプロジェクトは非常に素早く案件化につながりました。1つしかない試作品の検証などは、Web会議ツールの画像品質などの課題からまだ現場に集まって実施するしかない状況ですが、新たな技術開発のコンセプト検討や組織内での意志決定については、会議や説明会などコミュニケーションのオンライン化によって、経営層を始めとする決裁者が参加しやすくなったことで非常に進めやすくなっているためです。

 画像解析技術を使って、現場社員の健康状態をリモートで把握できる「健康看視アプリ」のプロジェクトもあります。これは、マネージャーなどがオンラインミーティングなどで現場社員を管理するケースが増える中で、非対面では表情や顔色が良く分からず、本人が申告をしないと健康状態をきちんと把握できないという課題を解決する取り組みです。現場で起きているリアルな問題にどう対処できるかを1つでも「見える化」することで、それが起爆剤となって現場でのデジタル活用のアイデアはどんどん出てくるようになります。

 私自身の実感としては、オンラインによって問題の検証などのプロセスのスパンが短くなり、これまでよりも結果を出しやすくなり、製品ライフサイクルの短縮と高度化の可能性も見えてきています。工場長や部門統括長などの現場責任者の方々が現場からデジタル活用の事例を作るポジティブなスパイラルを生み出すことで、製造業DXは加速します。これからの製造現場がコロナトランスフォーメーション(CX)への底力を生み出す積極策ともなると考えています。

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