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テレワークの成否を分ける鍵は「経営者・管理職」が握っている
2020.06.10

テレワーク導入の“壁”を解決第9回

テレワークの成否を分ける鍵は「経営者・管理職」が握っている

著者 永井 葉子

 新型コロナウイルス対策のため、オフィス勤務から在宅勤務によるテレワークを急遽スタートしたという企業も多いだろう。その一方で、突貫工事のように急いでテレワークを導入したことで、どのように進めるべきなのか指標がわからず、運用に戸惑っていたり、成果に結びつけられない企業もまた多いかもしれない。

 しかし、日本よりも早くテレワークを導入してきた欧州には、テレワークの指標が存在する。

 新型コロナウイルスが流行する少し前の2019年末、国際労働機関(ILO)は、過去40年にわたる世界のテレワークの変遷と現状をまとめた「21世紀におけるテレワーク」という報告書を発表した。ここには、過去のテレワークのケースをもとに、ILOが理想とするテレワークの姿が描かれている。

 理想的なテレワークの姿とは、どういうものなのか。同報告書によると、その鍵を握るのは「経営者・管理職」のようだ。

管理職がテレワークの普及を妨げている?

「21世紀におけるテレワーク」の執筆者の一人であるジョン・メッセンジャー氏は、同報告書において、テレワークの成功にまず不可欠なものとして「経営者、上層部、現場の管理職、全ての層からの支持」を挙げている。

 特に管理職については、「すでに導入している企業も含めて、大半の企業で、テレワークに対して抵抗感を持つ」と記されている。まるで、管理職がテレワークの普及を妨げているような言い回しにも受け取れる。

 この資料は“コロナ前”に発表されたものであるため、コロナ禍の現在は、テレワークに反発する管理職は減っていることが予想される。

 とはいえ、「本音をいえばオフィスで仕事をしたい」と考えている管理職は多いかもしれない。というのも、これまで管理職は、部下と一緒のオフィスで、同じ時間働き続けるのが当たり前だった。今まで目の前にいた部下が見えなくなることで、管理職は部下のマネジメントがしづらくなり、管理職としての任務も遂行しづらくなる。テレワークで管理職としての役割がまっとうできるのか、不安に思う人がいてもおかしくはない。

 テレワークを成功に導くためには、こうした管理職の気持ちを理解し、不安を解消していく手順を踏んでいくことが理想である。

 管理職から支持を得つつ、テレワークの導入をした例として、同報告書ではオランダの通信会社を挙げている。同社では テレワークを試行期間から段階的に導入したが、その際に様々な職位の社員をプロジェクトに動員し、それぞれの立場からの意見を取り入れることで、管理職の反発を抑えていったという。

 このように時間をかけて幅広い層の管理職の支持を得ていくためには、経営者の旗振りがないと難しい。だからこそ、経営者がテレワークの導入に積極的であることが、テレワーク成功の第一歩なのである。

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