4月7日、政府は新型コロナウイルス感染症の急速な拡大を踏まえ、緊急事態宣言を発令。東京都や大阪府など対象地域となった都府県では、在宅勤務を推進する企業が増えています。
それから遡ること約2カ月前の2月17日、NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)では、従業員に対し「原則在宅勤務」の方針を打ち出しました。
なぜNTT Comは、2月の段階で、速やかに在宅勤務へと切り替えられたのでしょうか? 同社総務部長(当時)の小原琢彦氏、ヒューマンリソース部長の山本恭子氏、システム部長(当時)の及川将之氏に、その背景を聞きました。
派遣社員も含む、全従業員の原則在宅勤務に踏み切った背景
――まずは2月17日より、全社的に在宅勤務を原則とした経緯を教えて下さい。
小原:始まりは1月です。当社のグループ企業であるNTT Ltd.は中国の武漢に事務所があり、早い段階から新型コロナウイルスに関する情報を得ていたため、1月の時点で社内に対し「臨機応変にテレワークを活用してください」と呼びかけていました。
その後、2月初旬に国内で経路不明の感染者の存在が発表されたという報道を受け、より本格的に検討を進めました。そして2月17日に、このまま出社をし続けると感染を広げる恐れがあると判断し、全従業員に対して原則在宅勤務を通達しました。
――「全従業員が対象」ということは、派遣社員など非正規雇用も在宅勤務の対象ということでしょうか。
山本:そのとおりです。社員だけでなく、派遣社員も含めて「従業員をどう守るか」を第一に考えました。
従来は、派遣社員の方は就業規則や労働関係の法令上、テレワークやフレックスタイム制の対象外でした。
ですが、今回は事情が違います。“一緒に働いている仲間である以上、社員も派遣社員も関係ない”ということで、派遣会社に文書を出し、理解をいただきました。