マイクロソフト社、アマゾン社など、世界的IT企業の本拠地となっている都市が、アメリカ西海岸に位置するシアトルだ。シアトルでは、新型コロナウイルス感染拡大防止策としてテレワークを導入する企業が多い。ここ10年ほどでテレワークが普及していることもあり、今や多くのビジネスパーソンになじみがある働き方となっている。
この危機の中、彼らの働き方はどう変わり、どんな工夫を重ねているのだろうか。現地からレポートする。
Wi-Fi環境が整う街にもコロナの魔の手が
シアトルは冒頭で触れたようにIT企業が多く集まるが、同時に「シアトル系」で一世を風靡したスターバックス社の発祥の地としても知られる。数ヶ月前までは、シアトルの街角にある数多のカフェには、IT企業に勤めるビジネスパーソンであふれていた。シアトル市内は公共Wi-Fi環境が整備されているため、カフェでノートPCを開き、テレワークに勤しむビジネスパーソンの姿は、シアトルらしい風景のひとつだ。
しかし、そんなシアトルも新型コロナウイルスの魔の手からは逃れられない。3月上旬、アマゾン社はいち早く全社員の在宅勤務を決定した。同時期、近隣にオフィスを構えるマイクロソフト社、フェイスブック社、グーグル社などの各IT企業社員も一斉に在宅勤務へと移行。シアトルの街から人影が消えた。
3月中旬からは、すべての飲食店がテイクアウトやデリバリーのみの営業と変わり、これまでカフェを主なテレワークの場としてきた多くのビジネスパーソンたちは、行き場を失うことになった。そして3月下旬には、ワシントン州内で自宅待機命令が発令された。医療従事者や食品など生活必需品の提供に関わる労働者以外、「仕事場は自宅のみ」とのお達しだ。