海外への積極的な事業展開や、高付加価値な製品やサービスの創出に取り組む株式会社 神戸製鋼所(以下、神戸製鋼)では、経営基盤を強化する施策の1つに「人材確保・育成」を掲げています。これはダイバーシティの推進、働き方改革を通じて、安全で働きやすい職場づくりに注力し、成長を牽引する人材の確保・育成を図るというものです。
同社技術開発本部の長峯勲氏は、取り組みに至る経緯を説明します。
「今後、日本企業が直面していく人材難を克服し、かつグローバル事業をさらに展開していくためには、ダイバーシティ推進は不可欠です。その一環として、試験的ではありますが、欧州から優秀な技術者2名を招くことが決まりました。それが今回のきっかけでした」
グローバルに事業展開する同社は、10数年前から継続的に外国籍従業員を採用しています。しかし、「日本語の読み書きができない」社員が日本の神戸製鋼で働くのは今回が初めてでした。
長峯氏は、受け入れにあたって直面した課題を次のように明かします。
「ルールや規定、規則といった社内リソースは日本語しか存在せず、当社の全社員がそこまで英語が堪能というわけではありません。実務的な意思疎通を図るために、まずは日本語を英語に翻訳する必要がありました。しかしながら、受け入れの時期も迫っており、短期間でスピーディに社内リソースを翻訳するには仕組みの導入以外に選択肢はありませんでした」
また、ツールの選定にあたってGoogle翻訳のような無料で提供されるインターネット翻訳サービスの選択肢は無かった、と長峯氏は振り返ります。
「これらのサービスは不特定多数のユーザーが気軽に利用できるメリットがある反面、情報の秘匿性に課題があると考えています。業務での利用に適した確かなセキュリティの担保に加え、翻訳精度が高く、使い勝手のいい、しかも低コストかつ迅速にスタートできる商用サービスを求めていました」