成功事例・先進事例に学ぶワークスタイル変革(第2回)

働き方改革によりシスコが得た多大な効果とは

2018.04.11 Wed連載バックナンバー

 現在、日本は国を挙げて抜本的な働き方改革を成し遂げようとしています。この先の人口減少が確実視される中、生産性向上を図っていかなければ経済成長どころか現状維持すら危ぶまれるからです。その中にあって、創業当初から一貫して働き方改革を進めてきたのが、シスコシステムズ合同会社です。同社における取り組みの詳細と成果について、同社 公共・法人事業 事業推進本部 サービスプロバイダー事業推進部 担当部長の玉木寿宣氏にお話を伺いました。

 

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人口減少必至の中、政府を挙げて働き方改革に突き進む日本

「2018年は日本型雇用の大転換期になるのではないでしょうか」。玉木氏は、そう口火を切りました。本年1月4日、安倍晋三首相が年頭記者会見で「長時間労働の慣行を断ち切る。ワークライフバランスを確保し、誰もが働きやすい環境を整えていく」と語りました。2017年の未来投資会議でも首相は「生産性革命こそがデフレ脱却への確かな道筋になる」と強調しており、日本政府の本気度がその証左だというわけです。

 なぜ日本人は働き方を見直す必要があるのでしょうか。「その背景には全世界でトップを走る超高齢化社会の進展と、総人口減少に伴う生産年齢人口の減少がある」と玉木氏は指摘します。現に47都道府県のうち、70%で人口の減少が加速している状況です。

 また日本は、昔から労働生産性が低い傾向にあります。 2016年の日本の労働生産性は、時間当たりで46.0ドル。35カ国のOECD(経済協力開発機構)諸国の中では20位で、主要先進7カ国でみると最下位です。

「今後の生産年齢人口減少を考えると、働き方を変えて労働生産性を大きく上げていくことがどうしても必要です」と、玉木氏は訴えます。

創業当初から働き方改革に取り組んできた先駆者シスコ

 働き方改革に関しては、シスコシステムズ合同会社(以下、シスコ)は1984年の創業当初からこのテーマに取り組んできました。それは、同社のビジョンである「Changing the Way We Work, Live, Play and Learn(人々の働き方、暮らし、遊び、学びのあり方を変える)」という言葉にも明記されています。

 とはいえ、同社においても最初から取り組みが完璧だったわけではありません。同社が在宅勤務規程を導入したのは2001年のことでした。主に生産性向上を目的として、外勤営業社員を中心に在宅勤務制度がスタートしました。そこには、災害発生時など緊急時における業務継続性確保や従業員満足度の向上という狙いもあったと言います。

 2007年、在宅勤務対象者を育児世代の社員へ拡大します。また、この年同社は東京オフィスを六本木ミッドタウンへ移転。これを機にオフィスレイアウトをフリーアドレスとするとともに、IP Phoneや音声電話会議システムを導入しました。当時はブロードバンドの普及もあって在宅勤務がより行いやすくなり、育児世代の社員が働き方を見直すのに恰好の年でした。

 さらに大きな転機が訪れたのは、東日本大震災の発生した2011年です。震災直後、同社ではオフィスの安全性が確認できるまで全社員が2週間にわたって在宅勤務を行いました。スマートフォンで社員の安否や緊急連絡事項を確認したり、リモートアクセスとテレワーカーへのネットワークサービスである「Cisco Virtual Office」を使って自宅にいながらビジネスチャットを行ったり、ミーティングを「Cisco WebEx」でのWeb会議に変更して、お客さまとも打ち合わせや商談を行ったとのことです。玉木氏は、当時を振り返ります。

「震災になったからこれらの機器を活用したのではなく、平時から利用していたため、全社員が混乱なく業務を継続できました。そして、全員で在宅勤務経験を共有したことによって、一気にリモートワークが浸透しました」

 そしていま、同社における働き方改革の目的は、当初の生産性向上や業務継続性確保を超えて、「いかに市場変化に対応しうる組織体制を作り、社員のエンゲージメントを高め、イノベーションを促進できるか」という段階へと進化しています。

働き方改革の成功に不可欠な3つの要素とは

 自社での取り組み経験から、働き方改革を成功させるには方策があると玉木氏は語ります。それは「企業文化」「制度」「テクノロジー」という三要素をバランスよく整備することです。

「企業文化」という観点では、シスコはシスコカルチャーの浸透を最重要課題と位置づけています。同社では会社のビジョンや戦略、行動指針をまとめたカードCulture Badgeを全社員が常に携帯することを求めています。また、シスコカルチャーへの理解・共感が高まるよう、役員・管理職レベルのワークショップや全社イベントを開催して語り合う場を設けています。

 さらにコラボレーション(協業)を重視しており、Inclusion & Collaboration(I&C)推進体制の下、多様な人材が活躍できる環境を構築しています。それと同時に、柔軟な働き方を活用したワークライフバランスの実現や多様性の認知と受容にも努めています。

 その中でも力を入れているのがダイバーシティ(多様性)実現であり、これは経営戦略であると同社では明言されています。そしてミドルマネジメントに対するトレーニングをグローバルで集中的かつ強制的に実施するとともに、日本オフィスにおいても社長直属のリーダーシップチームと社員ボランティア(アンバサダー)が中核となって全社で推進しています。

 一方、「制度」という観点での取り組みは、「People Deal」とよばれる会社と社員の相互のコミットメントが象徴しています。会社が提供するのは“機会”や“裁量”です。具体的には、フレキシブルな働き方や働き方の選択肢、最新のIT/コラボレーションツール、全社員とのグローバルなネットワークなど。それに対して社員は、自律的な働き方で応えます。成果に対する強い意識を持ち、積極的に部門横断コミュニケーションを図り、テクノロジーを最大限に活用する。その結果として、グローバルベースのベストソリューションをお客さまに提供します。

「シスコにはConnected Recognitionという現場から現場へ伝達されるユニークな新報奨制度もあります。これは会社や上司が社員を褒めるのではなく、社員同士、また、社員から上司、そして部署・国を超えてお互いに感謝を伝える制度です。コラボレーションへの意欲や仕事へのモチベーションが高揚すると社内でも非常に好評です」(玉木氏)

 そして「テクノロジー」については、同社は社員の多様な働き方や相互のコミュニケーションを促進するため、場所やツールに制限されず、いつでも・どこでも・だれとでも・どのようなデバイスからでも安全に仕事ができる環境を社員に提供しています。その目的は、最新技術を駆使することで仕事のパフォーマンスを最大化することにあります。

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社員に、企業に、働き方改革がもたらす多大な効果

 柔軟な働き方が実現すると、人々の生活はどう変わるのか。シスコでは社内調査が実施されました。ここでは「柔軟な働き方が実現したことによって、一日どれぐらい別の活動に時間が当てられるようになったか」を尋ねています。その結果、社員の70%が平均2時間以上を、家族と過ごす時間、読書・学習時間、睡眠など別の活動に利活用できるようになったと回答しました。

 働き方改革は企業にも大きな効果をもたらします。シスコでは、年間10億円の生産性向上を達成。時間や場所にとらわれない働き方で、より迅速なお客様対応が可能になったことによりお客様満足度も向上しました。「それだけではありません。シスコで働くことを誇りに思う社員が80%にも上り、社員の育児休業復帰に至っては100%を達成しています。それも平均7.8カ月と早期に復職を果たす傾向にあります」(玉木氏)

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働き方改革を強力に後押しする「Cisco Spark ボード」

 日々の働き方を見直して生産性向上をめざそうというとき、真っ先に頭に浮かぶのはミーティングではないでしょうか。出張に出かけたり、事前に資料を作成したりと、ミーティングは“時間食い”です。ある調査では、社員の労働時間の37%がミーティングに費やされていると言います。会議改革は、業務効率化のカギを握っていると言えそうです。

 この課題を解決するために開発された新製品として、玉木氏は3 イン 1 デバイスのコラボレーションツール「Cisco Spark ボード」を紹介しました。

 このツールは、会議室のプレゼンテーション画面やビデオ画面、ホワイトボードが1つになっており、電話、カメラ、マイク、そしてケーブルの役目まで果たします。誰かのファイルや写真を表示することもできれば、離れた場所にいながら共同作業することも可能です。55 または 70 インチ幅の「Cisco Spark ボード」であれば、ヘッドセットなしの自由な姿勢でビデオ会議も行えるとのことです。

 最後に玉木氏は、シスコが進める働き方改革について言葉を結びました。

「洗練されたテクノロジーを活用することで、ミーティングの時間を短縮するとともにミーティングそのものをシンプルかつ有意義にすることができます。シスコはこのように人々が無理しなくてもいい働き方を追求しており、そこでは必ず新しいイノベーションが生まれると確信しています」

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Bizコンパス編集部

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