TOEIC900点レベルの高精度でファイルをまるごと翻訳

ビジネス向けAI翻訳サービスで“働き方改革”を実現

2018.03.16 Fri連載バックナンバー

 多くの企業が海外へ進出し、外国人スタッフ社員も増加しつつある現在のビジネスシーンにおいて、英語によるコミュニケーション能力は重要なスキルの1つです。ただし、海外の取引先との合意形成や社内の外国人スタッフとの情報共有などでは会話力のみならず、ドキュメントの英訳・和訳といった翻訳力が求められます。こうした翻訳作業を軽減する主な手段としてはインターネット翻訳サービスの利用や翻訳パッケージの導入、外部への翻訳委託がありますが、いずれも一長一短という状況です。そこに一石を投じる、新たな翻訳サービスをご存じでしょうか。

 

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無料のインターネット翻訳サービス利用に潜むリスク

 国内需要が縮退し、海外需要の増加が加速する中、海外事業への注力・拡大こそが事業成長の鍵を握っています。そのような中、外国人スタッフを積極的に雇用する企業も増えつつあります。厚生労働省が発表した「外国人労働者を巡る最近の動向」(平成29年6月:厚生労働省職業安定局)によると、外国人の雇用状況は平成24年から平成28年にかけて約1.6倍に達しており、現在、日本国内で就労する外国人の数は100万人を超え、この伸びは今後も続いていく傾向にあります。

 社員の多国籍化が進む企業では、英語を社内の公用語に定めるケースもあります。それは極端な例としても、社員間や社外取引先とのコミュニケーションには高い英語力が求められるのは事実です。しかも対面での会話に加え、社内外との合意形成や意思決定のためにはドキュメントを英訳・和訳するスキルも求められます。

 ひと昔前なら、英語に長けた社員が辞書を片手に取り組んだ翻訳作業ですが、いまやインターネット翻訳サービスを使えば、瞬時に翻訳ができます。最近は精度も上がっており、無料で使えることもあり、ビジネスで日常的に使っている方も多いと思われます。

 一方、このような状況に眉をひそめているのが企業の経営層です。情報漏えいリスクを考えると、利用してほしくないと感じるのは当然でしょう。とはいえ便利なサービスであることは確かであり、事業をスムーズに回すために黙認しているケースも多いのではないでしょうか。しかしながら、社内の機密文書をインターネット上にアップロードするような行為は固く禁じておきながら、一方でインターネット翻訳を気軽に使える環境は、機密文書内の重要なテキストがインターネット上にアップロードされる状況に変わりありません。そういったリスクを踏まえ、すでに利用禁止をポリシーに定めている企業が増えつつあります。

翻訳パッケージや翻訳委託を利用する際のジレンマ

 セキュリティの観点からインターネット翻訳サービスの利用を禁止する企業において、代替案となるのが翻訳パッケージの利用です。これは社内LANなどのクローズドなIT環境に導入して利用できるため、セキュアな状態で翻訳作業を行うことができます。比較的低コストに導入できる点も魅力ですが、ここで問題になってくるのが翻訳の精度です。

 翻訳パッケージは社内LANなどに接続されるPCでの利用が前提となるため、マシンパワーに限界があります。そのため大半の翻訳パッケージは人手によって構築された変換ルールを元に翻訳するシンプルな「ルールベース機械翻訳(RBMT)」の技術を採用しています。このため規則が存在する定型的な文章の翻訳精度は高い一方、規則性が存在しない文章の翻訳精度は低くなります。

 翻訳精度については、最新の翻訳エンジンを採用しているインターネット翻訳サービスの方が翻訳パッケージより格段に高くなります。翻訳パッケージはセキュリティが担保できるが、使い勝手が悪くなるというジレンマが生じてしまうのです。その結果、利用者である翻訳担当スタッフの稼働が増えるなどの事象が起こっています。

 もう1つの選択肢として考えられるのは、専門の翻訳会社への委託です。機密保持契約を結べばセキュリティは問題ありません。翻訳精度についても、安心できるでしょう。ここで問題となるのはスピードとコストです。たとえば社外に発表する広報資料や販売促進ツールといった、時間を掛けて作り上げるような翻訳には向いていますが、「午後の会議で使う社内資料の翻訳を午前中に仕上げたい」といったケースには不向きです。そもそも会議資料の翻訳を、すべて外部委託したら膨大なコストがかかります。翻訳会社への委託については、必要な状況にのみ利用するのがセオリーでしょう。

 インターネット翻訳サービスは「セキュリティ」、翻訳パッケージは「精度」、そして外部委託は「スピードとコスト」に課題があります。そのため翻訳パッケージと外部委託を状況によって使い分けるなどの対策をとることになりますが、社内外のグローバル化が進展する昨今、翻訳作業は日常業務となる中で、せっかく採用した英語に長けた社員が単なる翻訳要員として使われてしまう、社員が本来メインで取り組むべき営業活動や研究開発が、翻訳という付属にすぎない作業に時間を奪われるという矛盾をかかえる企業が増加しつつあります。そのような中、第4の選択肢となる新たな翻訳サービスが話題になっています。

翻訳を革新する「クラウド型AI翻訳サービス」の真価

 インターネット翻訳サービス、翻訳パッケージ、外部委託の問題点を解消する新たな選択肢として注目されているのがクラウド型AI翻訳サービスです。主要なサービスとしてはロゼッタ「T-400」、クロスランゲージ「WEB-Transer@SDK」、高電社「翻訳クラウド」などが挙げられます。いずれもセキュリティ、翻訳精度、スピード、コストといった従来の翻訳サービスが抱えていた課題をクリアするサービスです。このクラウド型AI翻訳サービス市場に、3月1日より参入したのがNTTコミュニケーションズの「AI翻訳プラットフォームソリューション」です。先行するサービスとの大きな違いは機械翻訳の技術にあります。

 現在、機械翻訳には大きく3つの技術が使われています。古いほうから順に「ルールベース機械翻訳(RBMT)」「統計ベース機械翻訳(SMT)」「ニューラル機械翻訳(NMT)」です。SMTは、膨大な日本語と英語の単語のペアをAIに学習させた統計をベースに「X」という単語の後に続く単語「Y」を確率の高さで判断して翻訳を行います。一方NMTは、脳の神経回路を模したニューラルネットワークを用いた機械翻訳技術です。文章を細かく分解し、“意味を理解する”学習をします。たとえば日本語の原文の意味に合わせて、自然な英語の訳文を選定し、文章を作成します。SMTよりNMTのほうが、より人間に近いロジックで翻訳を行うため翻訳精度は格段によくなります。

 ここ1年でインターネット翻訳サービスの翻訳精度が格段に向上した理由は、採用している技術がSMTからNMTへ切り替えられたためです。ちなみに「AI翻訳プラットフォームソリューション」の翻訳エンジンにもNMTが採用されています。NTTグループ企業の株式会社みらい翻訳国立研究開発法人 情報通信研究機構が共同開発した翻訳エンジンが「COTOHA Translator TM」です。最新のNMT技術と、膨大な文例の学習によって、従来のクラウド型AI翻訳サービスとは一線を画す超高精度の翻訳を実現しています。

TOEIC900点レベル、しかも“日本びいき”な翻訳力

 AI翻訳プラットフォームソリューションの最大の強みは、翻訳エンジンであるCOTOHA Translator TMによる翻訳精度です。事前に実施した翻訳の専門家による精度評価実験(日本語と英語のサンプル文章を400字詰め原稿用紙約25枚分用意し、日→英、英→日の翻訳を実施)では、5段階評価で平均4.0を達成。インターネット翻訳サービス(平均3.7)を上回る結果が出ています。また、人間による翻訳との比較でも、TOEIC900点レベルの被験者と同等の平均点を獲得。さらに人間が平均7時間を要した翻訳を約2分以内で完了させるという、精度とスピードを両立したパフォーマンスを見せています。

 しかも、日本人の利用を前提にした膨大な文例の学習により、“日本びいき”の翻訳エンジンに仕上がっていることも大きな特長です。以下の翻訳比較にあるように、日本語ならではの慣用句などを正確に翻訳できる点はインターネット翻訳サービスとの大きな違いと言えます。さらに利用者は簡単な操作で辞書登録ができ、社内用語や専門用語の翻訳精度を高めていくことができます。営業部門や技術部門など利用者の職務によって異なる辞書の登録も可能です。

翻訳精度の比較

 2つ目の特長として挙げられるのは「使い勝手の良さ」です。AI翻訳プラットフォームソリューションは、きわめてシンプルで、誰もが直感的に使えるユーザーインターフェイス設計になっています。ユーザーが利用できる翻訳機能は「テキスト翻訳」と「ファイル翻訳」の2つです。テキスト翻訳は、文字通り翻訳したいテキストデータを「原文」のスペースに直接記入するか、コピー&ペーストするだけで完了します。さらに翻訳した文章を原文に戻す逆翻訳も同時にできるため、翻訳精度の確認も容易です。

「テキスト翻訳」画面

 そして、AI翻訳プラットフォームソリューションならではの便利な機能がファイル翻訳です。Microsoft Office (Word、Excel、PowerPoint)やPDF形式のドキュメントファイルをブラウザ上にドラッグ&ドロップするだけで翻訳を実行し、同じファイル形式、ほとんど変わらないレイアウトで翻訳結果を出力できます。一般的なインターネット翻訳サービスのような、手動でファイルを開いてテキストを画面にコピー&ペースト、翻訳結果を再び元のファイルにコピー&ペーストするという煩雑な手間が不要になり、作業時間が圧倒的に短縮できます。

導入により期待される効果

 最後の特長は「導入のしやすさ」です。設備投資が不要なクラウドサービスのため1IDあたり月額8,000円(税別・最低10ID~)で利用できる点も大きなポイントと言えます。しっかり働いてくれる有能な翻訳アシスタントを10人も、しかも月給8,000円で雇用できると考えれば、かなり魅力的なサービスです。しかも人間の数十倍の速さで翻訳をこなすため、利用者は翻訳結果の確認と修正のみで済みます。これまで膨大な稼働がかかっていた社内での翻訳作業が劇的に短縮できることで、業績向上はもとより、働き方改革にも一役買ってくれそうです。

導入により期待される効果

 現在「AI翻訳プラットフォームソリューション」では、日本語から英語、英語から日本語への翻訳に対応しています。今後、中国語をはじめとする多言語対応も予定しています。またNTTグループのセキュリティ技術、VPNなどのITソリューションと組み合わせた、よりセキュリティを強化したサービスメニューも登場する予定です。いまこそ、従来の翻訳プロセスを抜本的に見直すチャンスといえるかもしれません。

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