基幹システムで実現する働き方改革

どうしてクラウドERPが「働き方改革」に有効なのか

2018.01.24 Wed連載バックナンバー

 経営者向けのシステムと思われてきたERPですが、働き方改革の鍵を握っているといっても過言ではありません。たとえばERPにデータ投入するために、わざわざ入力用の専用システムを構築・管理したり、現場にExcelデータの成形や投入作業を強いていたりしないでしょうか。

 また、タブレットやスマートフォンといったモバイル端末を活用し、現場でさまざまな情報を入力・検索することで、もっと作業効率を上げたいと思ったことはないでしょうか。

 最近注目を浴びているERP/CRM(SFA)統合パッケージを活用すると、たとえば商談管理、販売管理、在庫管理等の機能がシームレスにつながり、これまで一度オフィスに戻ってから実施していた在庫確認なども現場からモバイル端末経由でERPのデータを直接参照することができるようになります。さらに、これまで手作業で行っていた伝票入力業務もAPIを介してRPAで自動入力することで、業務が効率化して生産性も向上し、働き方改革にも大きく貢献できそうです。 詳しく解説していきましょう。

 

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経営層にも現場にもメリットがあるERPとは?

 かつてERPは経営資源を一元的に可視化し、管理することで経営管理をサポートすることが目的となっていて、いわば経営層のためのシステムであり、必ずしも現場にメリットをもたらすものとは言えませんでした。とはいえERPが本来の目的を達成するためには、現場での日々のデータ入力や更新といった作業が欠かせないのも事実です。

 そこで多くの企業の現場では、自分たちの業務に役立つシステムを別途構築し、ERPを連携させるといった方法でシステムが構築されています。しかし、これは経営と現場の断絶につながるほか、システムの複雑化の要因ともなり得ます。

 このような状況を打破するため、現在ERPに強く求められているのは、経営層にとっても、そして現場にとっても使いやすくメリットがあるシステムの実現です。以前はこのようなシステムを実現するのは困難でしたが、現在の技術を活用すれば決して不可能ではありません。実際、そうした課題を解決できる新たなコンセプトのERPパッケージは登場し始めています。代表例として挙げられるのが、マイクロソフトの「Dynamics 365」です。

Microsoft Dynamics 365

現場の声をすばやく反映できるDynamics 365

 Dynamics 365はERPとCRMの機能統合したパッケージであり、現場に近いシステムまでをフレキシブルにカバーできるという特長を持っています。当然、マイクロソフトが提供する各種プロダクトとも柔軟に連携することが可能であり、それにより業務の効率化や、働き方改革を果たすことが可能です。

 具体的な例として挙げられるのは、表計算ソフトであるExcelとの連携です。ERPに入力するデータを作成する際、多くの現場でExcelは使われているでしょう。ただし多くの場合、1度CSVなどでERP内のデータを書き出し、それをExcelで開いて編集し、その上で書き戻すといったフローで作業することを強いられているのが実情です。しかしDynamics 365であれば、Excelから直接ERP上のデータを参照・編集することが可能であり、オンラインのまま作業を完結することが可能です。

Dynamics 365のシステムアーキテクチャー

 ERPと現場の距離を近づけるための仕組みとしては「PowerApps」にも注目です。これはモバイルアプリやWebアプリをPowerPointに似た操作性によりノンプログラミングで作成できるツールであり、Dynamics 365上のデータを参照したり入力したりするアプリを簡単に作成できます。

 たとえばERPに蓄積された情報を現場で簡単に参照できるツールがほしいといった要望があった場合、従来であればまず要件を整理し、その上で外部のシステムインテグレーターなどに発注し、システムを構築するといった形が一般的でした。しかしこれでは相応のコストが発生するほか、システム開発にも時間がかかってしまいます。

 しかしPowerAppsを使えば現場の声を聞きつつ、情報システム部門の担当者が即座に開発するといったことも可能であり、内容によっては数日程度で開発できます。このスピード感は大きな違いと言えるでしょう。また、モバイルアプリも開発できるため、外出先ですばやく在庫をチェックできるアプリがほしいといった要望にもすばやく応えることができます。

 顧客先に納品した製品に組み込んだIoTデバイスと連携し、保守メンテナンス作業を行うフィールドサービスを効率化するといったことも考えられます。特にDynamics 365はCRMとしての機能もサポートしているため、出荷した製品を定期的にモニタリングし、故障を検知すればアフターサービス部門が顧客対応を図る一方で、自動的にフィールドサービス部門へ故障情報が伝達され、割り当てられた保守要員が補修部品の在庫を確認して現地に向かい、さらに現地からはモバイル端末で作業報告する、といった業務フローを1つのシステムの中で実現できます。また収集したデータを基に、問い合わせ分析やサービス改善、製品開発に役立てられることも大きなメリットでしょう。

基幹システム(ERP+CRM)とIoTの融合

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大幅な業務効率化を可能にするRPAとの連携

 ロボットにより定型業務を自動化するロボティクス・プロセス・オートメーション(RPA)との連携の仕組みもDynamics 365では提供されています。特に経理処理においては、外部から送られてきた受発注伝票などをERPに入力するといった業務に多くの人手がかかっているのが現状です。しかしRPAとDynamics 365を組み合わせれば、外部から送られてきた伝票をOCRで読み取り、自動でERPに投入するといったことを実現できます。さらにDynamics 365には外部システム連携の機能が標準で組み込まれているため、たとえばEDIとの連携が必要であるといった際の追加開発の負担も大幅に軽減することが可能です。

ERPとRPAの連携により期待される自動化効果

 このRPA連携により、メールやファクスによる受発注や人事異動などによるマスタ変更、定型レポートの出力などを自動化することも可能であり、幅広い業務の負担軽減が実現します。さらにMicrosoft Azure上で提供されているワークフローツールである「Logic Apps」との連携もサポートされているため、通知の送信やファイルやデータの同期、承認処理といった領域にまで踏み込んで自動化ができる点も大きなメリットでしょう。

 Logics Apps以外にも、Dynamics 365とMicrosoft Azureの機能を組み合わせて使うことが可能です。その一例として挙げられるのが、リアルタイムにテキストを翻訳する「Translator Text API」との連携です。入力するデータの内容によっては、データそのものだけでなく、担当者の所感やメモを記入するケースがあります。しかしながらグローバルで事業を展開している場合、メモを日本語で入力してしまうと、海外の拠点では内容を理解できないという問題が発生します。すべて英語で記述するといった解決方法もありますが、現場の最前線まで含めて考えると、英語で統一することは現実的ではないでしょう。

 そこで活用できるのが、クラウドベースの機械翻訳サービスであるTranslator Text APIです。所感やメモにテキストが入力された際、その内容を自動的に翻訳するようにTranslator Text APIをシステムに組み込めば、いちいち現場レベルで翻訳することなく母国語で内容を把握できるというわけです。なお、現在ではインターネット上で機械翻訳を行うサービスは多数ありますが、情報漏えいの可能性もあるため業務での利用には注意が必要です。このような観点でも、Translator Text APIは安心して利用できます。

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クラウド化がもたらす価値と“ポストモダン”ERPの世界

 このようにERPとしてさまざまなメリットを持つDynamics 365ですが、パッケージ版に加え、Microsoft Azure上でSaaSとしても提供されていることも見逃せません。これにより自社でハードウェアを持つ必要がなく、その調達や環境の構築、保守や更改といった業務から解放されます。またリソースの拡張やバックアップ、ディザスタリカバリにも対応可能なため、情報システム部門のさらなる負荷軽減につながります。

安心・安全なD365サーバー構成

 なお、以前のSaaSはユーザーの意思に関係なくメンテナンスやバージョンアップが行われ、しかも多くの場合日本のタイムゾーンや繁忙期を考慮されずにスケジュールが決まるために、日本の企業には都合の悪いタイミングでシステムが利用できなくなるといったことが多々ありました。しかしDynamics 365はユーザーごとに個別のテナントで実行されるため、メンテナンスやバージョンアップのタイミングを利用企業の業務スケジュールに合わせて選択することが可能です。

 そもそもERPは会計や伝票処理を中心に、必要なサービスや機能を周辺システムとして組み合わせて使う分散型のアーキテクチャとなっています。そのため現在の企業システムにおいては、さまざまなシステムがERPと連携していますが、それによってシステムが複雑化し、ちょっとしたシステムの変更でも場合によっては大規模な開発・改修が必要になるといったケースが少なくありません。

 一方Dynamics 365であれば、経費精算などのSaaSとして提供されている外部のシステムとAPIを使って容易に連携できるほか、既存システムと連携するための仕組みも標準で備えています。

 従来のオンプレミスに構築されたERPは大規模なERPを軸に各種システムがつながる構成でしたが、今後は複数のクラウドサービスとAPIでつながり、柔軟性と拡張性を高めたポストモダンERPが主流となっていくでしょう。そうした未来を先取りしたERPがDynamics 365というわけです。

ERPは「ポストモダンERP」の時代へ

 クラウドERPとして提供されるDynamics 365を活用し、さらにPowerAppsやLogic Appsといった周辺サービスやRPAなどとの連携を行うことで、現場スタッフの日々の業務効率を大幅に改善するERP環境が実現できます。今後、ERPの導入・更改を検討する場合は、生販在の可視化・将来予測といった経営目線での導入効果だけでなく、現場の働き方改革による投資対効果も考慮した検討が有効だと思われます。

 

アジア拠点の課題解決をサポート

 マイクロソフト Gold コンピテンシーパートナーの1社であるNTTコミュニケーションズでは、海外拠点の在庫最適化などに役立つ、「グローバル経営の見える化ソリューション Microsoft Dynamics 365 with Hybrid Cloud」の提供を通じて、アジア拠点の課題解決を支援しています。下記リンクから相談を受け付けていますので、お困りの方は一度問い合わせてみてはいかがでしょうか。

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