ロボットにより定型業務を自動化するロボティクス・プロセス・オートメーション(RPA)との連携の仕組みもDynamics 365では提供されています。特に経理処理においては、外部から送られてきた受発注伝票などをERPに入力するといった業務に多くの人手がかかっているのが現状です。しかしRPAとDynamics 365を組み合わせれば、外部から送られてきた伝票をOCRで読み取り、自動でERPに投入するといったことを実現できます。さらにDynamics 365には外部システム連携の機能が標準で組み込まれているため、たとえばEDIとの連携が必要であるといった際の追加開発の負担も大幅に軽減することが可能です。
ERPとRPAの連携により期待される自動化効果

このRPA連携により、メールやファクスによる受発注や人事異動などによるマスタ変更、定型レポートの出力などを自動化することも可能であり、幅広い業務の負担軽減が実現します。さらにMicrosoft Azure上で提供されているワークフローツールである「Logic Apps」との連携もサポートされているため、通知の送信やファイルやデータの同期、承認処理といった領域にまで踏み込んで自動化ができる点も大きなメリットでしょう。
Logics Apps以外にも、Dynamics 365とMicrosoft Azureの機能を組み合わせて使うことが可能です。その一例として挙げられるのが、リアルタイムにテキストを翻訳する「Translator Text API」との連携です。入力するデータの内容によっては、データそのものだけでなく、担当者の所感やメモを記入するケースがあります。しかしながらグローバルで事業を展開している場合、メモを日本語で入力してしまうと、海外の拠点では内容を理解できないという問題が発生します。すべて英語で記述するといった解決方法もありますが、現場の最前線まで含めて考えると、英語で統一することは現実的ではないでしょう。
そこで活用できるのが、クラウドベースの機械翻訳サービスであるTranslator Text APIです。所感やメモにテキストが入力された際、その内容を自動的に翻訳するようにTranslator Text APIをシステムに組み込めば、いちいち現場レベルで翻訳することなく母国語で内容を把握できるというわけです。なお、現在ではインターネット上で機械翻訳を行うサービスは多数ありますが、情報漏えいの可能性もあるため業務での利用には注意が必要です。このような観点でも、Translator Text APIは安心して利用できます。