企業の従業員であることを証明する「社員証」に、ICカードを採用している企業は多いでしょう。カードリーダーにICカードをかざすだけで、ビルのエントランスゲートやオフィスのドアの鍵としても、従業員の勤怠管理としても利用できる優れものです。
しかし、ICカードの社員証は、その便利さゆえリスクも伴います。紛失してしまえば、何者かに悪用されてしまう恐れがあり、たとえカードを失効したとしても、ICのカード内には従業員のデータが残り続けます。さらにいえば、入社/退社した従業員のICカードを付与/回収するための作業も伴うことになります。
このようなICカード型の社員証に起因する問題は、どのようにすれば解消できるのでしょうか?今回は、スマートフォンを活用することで、この問題に対して“ある解決法”を見出した、NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)の菊池徹次氏と福井みなみ氏に聞きました。
目次
カードがなくなった、退職後に回収できない…社員証の管理は面倒
NTTコミュニケーションズ株式会社
プラットフォームサービス本部
アプリケーションサービス部
スマートワークスタイル推進室
菊池徹次氏
※本インタビューはWeb会議にて実施しました
ICカード型の社員証は、身分証明の用途以外にも、オフィスに入退室する際の「鍵」としても利用されています。オフィスに出社したとき、社員証をカードリーダーにかざすとドアロックが解除され、ゲートが開き、オフィスに入室できるという仕組みです。
しかし、カードを紛失しまった場合、第三者が従業員になりすましてオフィスに入室してしまったり、たとえ紛失したカードを失効しても、物理カードそのものは残り続けるため、社員情報を悪用されるリスクも考えられます。
リスク以外にも、社員証の配布・発送・回収作業といった管理業務でも負担となっているようです。
NTTコミュニケーションズ株式会社
プラットフォームサービス本部
アプリケーションサービス部
スマートワークスタイル推進室
福井みなみ氏
※本インタビューはWeb会議にて実施しました
「特に数千、数万人といった従業員が働いている企業の場合、1人1人に社員証を配布するだけでも大きな負担になります。たとえば3万人以上の従業員が働くある企業では、毎月数百枚のIDカードを作成して従業員に配布しています。コロナ禍で出社する機会が減っている昨今では、自宅に郵送するケースもあり、負担が増大しています」(NTT Com 菊池氏)
「従業員が退職したり、外部のパートナーの契約が終了した際、当然ながらIDカードを返却してもらう必要があります。しかし、テレワーク環境では引き取ることが難しいという話もよく耳にします」(福井氏)