こうした社員証に起因する問題に対し、NTT Comではスマホを活用し、社員証を“アプリ化”する解決策を探ります。
スマホのアプリの中には、店舗のメンバーズカードやポイントカードをデジタル化したものも多く存在します。同様に、社員証をスマートフォンに取り込み、アプリとして扱えるようになれば、わざわざICカードを持ち歩く必要がなくなり、紛失のリスクが抑えられます。物理的な社員証を各従業員へ配布する手間も省けるうえ、退職した従業員やパートナーから返却する負担も解消できます。
そして2020年9月、NTT Comは、社員証の情報をデジタル化し、iPhone/Android用のスマホのアプリに集約したデジタル社員証アプリ「Smart Me」をリリースしました。
Smart Meの最大の特徴は、Bluetooth(BLE:Bluetooth Low Energy)で通信を行うことで、カードリーダーに手を触れることなく、非接触でオフィスの扉や入館ゲートを開けられる点にあります。専用のリーダーに手をかざすと、リーダーから発する赤外線が反応し、リーダーが近くにあるスマホ端末に対してBluetoothで認証を行い、ゲートが開くという仕組みになっています。
「スマホをリーダーに近づける必要もありません。スマホをポケットに入れたままでも、ゲートに手をかざすだけで通過できます。大手向け入退室管理システムとしては、日本で初めてBluetoothを活用したソリューションであり、Bluetoothが搭載されていれば、Android、iOS両方の端末で使えます」(福井氏)

Smart Meの利用イメージ
Smart Meは自社の従業員だけでなく、来訪者の入退室管理にも利用できます。
「来訪者用のIDカードを不特定多数で使い回している場合、誰がいつ入室・退出したのか、さらに使用後にIDカードを回収できたのかを素早く把握することは困難です。しかし、来訪者がSmart Meを利用すれば、入退室の時間をもとに、招待した側が有効期限を設定できるので、入退室のセキュリティを高められます」(菊池氏)