同社ではさらに、Web電話帳サービス「PHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん)」も導入しました。スマホ端末の使い勝手を向上する狙いに加え、個人情報の取り扱いも発生するため、顧客情報を守る観点からも同サービスを選択したといいます。
「弊社は保険会社ということもあり、業務を行ううえで、お客さまと密にコミュニケーションを取る必要がありますが、電話番号をいちいち紙の電話帳やPCなどで調べるのは面倒です。しかしスマホ内にお客さまの個人情報である電話番号を登録してしまうと、交換時や紛失時の対応が難しくなります。簡単に電話がかけられ、端末に電話番号を保存しないが、受電時にお客さまなど相手の電話番号は表示できるWeb電話帳は、必須のサービスだと考えていました。
PHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん)は機能やコスト、操作性に優れている点に加えて、端末に情報を残さないクラウドサービスのためセキュリティが担保できる点や、日本で200万ユーザーを超えるNo.1の実績を持つ点が選定理由となりました」(岡田氏)
これに加えて、多くの従業員が同時にクラウドPBXを利用しても、快適かつ安定した通話ができるよう、ネットワーク基盤にも新たな対策を用意しました。それが、NTT Comの「Flexible InterConnect」サービス(以下、FIC)を利用したインターネットブレイクアウト構成の採用です。
この構成であれば既存のデータセンターを経由せず、NTT Com網から直接インターネットにアクセスする方式となり、業務システム通信と音声通信を分離し、安定したネットワークサービスを提供することができます。また、利用状況に応じてネットワーク帯域を柔軟に変更することができ、今後のクラウドサービス活用ニーズの増加にも対応できると考えています。
構築にあたっては、既存のNTT Com網とFICを接続することにより、国内の千数百カ所にも及ぶ営業オフィスに、新たに機器設置や回線敷設など、設備を導入する必要がなく、コストを抑制できたといいます。現地に一度も工事に入らず、新たなネットワーク環境を構築したのです。
「当社はITインフラ戦略の策定時に描いたグランドデザイン・ロードマップに従い、社内パソコンの刷新から無線アクセスポイント更改、さらにインターネットブレイクアウトなど計画的に着実に整備をしてきました。その結果、追加のインフラコストをほとんどかけずにテレワーク環境を実現しました。コロナ禍の中で多くの従業員がテレワークへ移行できたことは大きな強みになっています。さらにこの基盤を利用し、更なるクラウドサービスの活用を推進しています。」(太田氏)
このように新たな音声基盤を採用する一方で、新たに導入するスマホの端末は、SIMカードを搭載しない、Wi-Fiでの利用に特化した“SIMなしスマホ”が選ばれました。
「今回は、社内電話の置き換えとして提供するので、社内やテレワーク環境での利用を想定し、スマホ端末にはSIMカードを入れないことにしました。SIMカードを導入すると、端末の台数分の月額料金が必要になります。敢えてWi-Fi利用に絞ることで、端末の購入費用だけで、手軽かつ安価に内線環境が構築できました」(岡田氏)