1つ目のスキルである「リモートベーススキル」とは、リモート会議の特性を抑え、対面時には存在しなかった様々なロスの発生を防ぐスキルのことです。
既に述べた通り、リモート会議では対面会議の時は気にならなかったことが問題として顕在化しています。テレワークを導入した際に多くの人が最初にぶつかるのはこの部分であり、ファシリテーターはどこに問題が起きやすいかを理解し、積極的に対処していく必要があります。
リモート会議の場合、どうしても通信環境の問題で音声が途切れたり、声が小さくなったりすることがあります。しかし、そういった場合でも特に確認されないまま会議が進んでいくことがしばしばあります。「あまりしつこく確認すると申し訳ない」「自分だけかもしれないからやめておこう」といった日本人的な配慮・遠慮などが背景にあるのだと思いますが、これは絶対によろしくありません。もしその発言がこの会議の核心を突いていたら、その時点でこの会議の存在価値が失われてしまう恐れがあります。そうならないように、ファシリテーターは音声の問題を感じたら、率先して確認をしていく必要があります。
さらに、通信回線が決定的につながらなくなってしまった状況を想定して、バックアッププランを予め準備しておくことも大切です。具体的には、すぐに使える別のWeb会議システムを常に2種類用意しておきつつ、各拠点や参加者の電話番号を確認しておきます。つながりが悪い時はすぐに割り切って、別の手段に切り替えます。私も実際に、Meetでつながらなかった際にZoomへ、Web会議システムでつながらなかった際には電話のスピーカー会議へ、といった変更を何回か経験しています。事前に想定しておけばなんてことの無い状況ですが、全く想定外ですとかなりの時間ロスに繋がります。
Web会議でよく起こりうるのが、参加者がWeb会議システムの操作に手間取ってしまう“ツール迷子”の問題です。こういう場面でファシリテーターにおすすめしたいのは、次の行動・展開を丁寧すぎるくらいに声に出して伝えることです。
例えば、「今から資料を画面共有します」「画面共有を解除しますが不明点などはよろしいでしょうか」「○○さん左のマイクボタンを押してミュートを解除して発言をお願いします」といった具合になります。多少わずらわしい印象を持つかもしれませんが、これでツール迷子は劇的に減らすことができます。特にリモート会議導入期には有効です。慣れてくれば徐々に減らしていっても問題ありません。
まずは『コミュニケーションサポート』と『“迷子”の防止』この2つを確実に行ってみてください。これだけでも致命的なロスはかなり減らせます。
