2020年4月7日、日本政府は新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、緊急事態宣言を発出しました。記事公開時点では解除されていますが、状況が悪化すれば、再び緊急事態宣言が発出される可能性も考えられます。
4月の緊急事態宣言の際には、勤務形態を自宅でのリモートワークに切り替えた企業も多く見られました。とはいえ、たとえ在宅勤務に切り替えたとしても、オフィスとまったく同様に働けるという企業は少ないでしょう。
しかし、中には「オンラインでの勤務がメイン、オフィスでの勤務がサブ」といったように、オフィスに出社しないリモートワークを基本の勤務形態としている企業も存在します。オンライン勤務がデフォルトであれば、たとえ緊急事態宣言が発出されたとしても、通常どおり仕事が進められることになります。まさに、With/Afterコロナ時代に適した働き方といえそうです。
今回は、オンラインでの勤務がメイン、オフィス勤務はサブという勤務形態を採用している、株式会社Box Japan(以下Box社)の安達徹也氏に、どうすればそのような働き方ができるのか、話を聞きました。
まずは「人がオフィスにいる」を前提としたITインフラから変えるべし

株式会社Box Japan
執行役員
アライアンス・事業開発部 部長
安達 徹也氏
Box社は、法人向けのクラウド型ファイル共有サービスなど、コンテンツ管理プラットフォームを提供する「Box」を世界的に展開する企業です。日本法人であるBox Japan社では、コロナ禍における企業のリモートワークの導入状況をヒアリングし、進捗具合に合わせて「レベル1」「レベル2」「レベル3」「レベル4」という4段階に分類しています。
「レベル1」は、そもそも1人1台のノートPCが配布されてないなど、リモートワークをするための仕組みが存在しない企業が該当します。つまり、“どうやってもリモートワークができない”状態がレベル1となります。
「レベル2」は、レベル1とは違って、リモートワークをするための環境は整っているものの、業務プロセスに紙や印鑑が存在したり、VPNやVDIのパフォーマンスに難がある状態のことを指します。いわば“リモートワークはできるけど、やりにくい”状態です。
「レベル3」は、リモートワークのためのプロセスがデジタル化され、“問題なくリモートワークができる”状態、そして「レベル4」が、オンラインをフル活用し、オフィスなどリアルな環境はあくまでも補完として利用する“オンラインファースト”の状態となります。

「Box社では現在、レベル4の働き方が実現できていると考えています。もしリモートワークを推進したいのであれば、もちろんレベル4を目指すべきですが、まずは自社の置かれたレベルを把握したうえで、レベルを1段階ずつ上げていくことを目指すべきでしょう」(安達氏)
安達氏によると、今回、多くの顧客との会話の中でもっともボリュームゾーンの多かったのは“レベル1.5~2.5”だったといいます。レベル4を実現するには、抜本的なマインドセットの必要があるため、もしテレワークを推進したいのであれば、まずはレベル3に目標に置くべきと話します。
「レベル3ではITインフラを、オフィスで働く前提から、働く場所を選ばないリモートワーク環境へとバージョンアップする必要があります。
というのも、コロナ以前は、基本的に人がオフィスにいることを前提にITインフラが設計されています。ファイルの大半は社内、アクセス手段はVPN、インターネットの利用もセキュリティの観点から一度オフィスを経由してアクセスするため、回線が遅延する問題も起きます。
レベル3におけるリモートワーク環境は、従来はオフィスに置いていたファイルをインターネット上に置き、必要最小限のデータだけを社内に残して、ITインフラの最適化を図る考え方です。自宅からダイレクトなインターネット接続でクラウドが利用できるようにして使い勝手を向上させます。考え方としては“ゼロトラスト”のネットワークに近いといえます」(安達氏)


もちろん、インターネット上に大半のファイルを移行するには、データの保管場所のセキュリティを考慮する必要があります。安達氏は、その問題に貢献できるのが、自社サービスの「Box」であるといいます。