久野氏はこうした状況を打開するために、旅費申請そのものを無くす、当時まだリリース前だったあるサービスのトライアル導入を決意します。それは、9月にリリースされた同社の新サービス「Smart Go」です。
Smart Goは、携帯電話で交通系ICカード「Suica」の機能が使えるJR東日本の「モバイルSuica」の利用履歴を用いることで、旅費申請を省き、旅費管理を行うサービスです。
Smart Goでは、モバイルSuicaに法人用クレジットカードで予め金額をチャージします。社員はそのモバイルSuicaを利用し、交通費を支払うため、従来のように社員が旅費を立て替え払いする必要はありません。利用履歴はSuicaの専用サーバーと連携しており、企業側は常に最新の利用状況を取得できます。
「Smart Goには、利用内容が正しいかどうかを判定する簡易監査機能が付いていますし、乗降履歴も取得できます。社員が行程を旅費システムで一件ずつ申請するのではなく、企業側が、交通機関が提供する電車の乗降履歴そのものを明細として利用すれば十分なのではないかと考え、Smart Goの導入を決めました」(久野氏)
同社では本格導入前に、まずはトライアルとして、20名超の社員による利用からスタート。川島氏もそのうちの1人でした。
「私は私用のスマートフォンを、いわゆる『BYOD』で業務にも使っていますが、そのような形でも、Smart Goは利用できます。電車や地下鉄はもちろん、バスやタクシーでも、交通費の支払いはモバイルSuicaでタッチするだけ。しかも、利用後の申請は不要です。
これまで旅費の申請は、一件あたり5~10分かかっており、それを複数登録するため、かなりの時間をとられていました。しかし、Smart Goの導入で、旅費申請にとられていた時間は“ほぼ0”になりました。これが時間と心のゆとりにつながっています。
私は子供を保育園へ送り迎えするため、業務時間が限られています。業務にも集中して取り組めるようになり、“働き方改革”を実感しています」