その1つの取り組みとして、JR東日本のIC乗車券「Suica」を利用することで、交通費の“申請”という業務自体を省いた、NTTコミュニケーションズの「Smart Go」というサービスが存在します。
Smart Goは、コーポレートカードと、携帯電話で使用するアプリ「モバイルSuica」を組み合わせることにより、従業員の交通費精算業務の負担を大幅に軽減するサービスです。2019年9月25日よりサービスの提供がスタートしています。
従業員は、コーポレートカードでチャージされたモバイルSuicaを利用して、交通費を支払います。利用履歴はSuicaの専用サーバーと連携しており、常に最新の情報が取得できるため、従業員側が交通費申請をする必要がありません。従来のように従業員が交通費を立て替え払いする必要もなくなるため、従業員の精算業務は結果的にゼロになる、というわけです。
さらに、従業員への立て替え精算で銀行振込を使うこともなくなるため、銀行への振込手数料は不要となります。従業員数が多い企業では、大きなコスト削減効果も期待できます。

Smart Goを企画した背景について、NTT Comの川田英司氏は、これまで企業向けのサービスにおいては、従来のルールを守るばかりで、利便性が後回しにされてきたことを指摘します。
「スマートフォンで何でもできるコンシューマ(消費者)向けサービスに比べ、企業向けサービスは、上長の承認を得るための手続きを組み込むなど、旧来の慣習に引きずられている傾向があります。現在も多くの企業で、申請された交通費をクロスチェックし、誤った申請をしていないかを確認するなど、膨大なコストをかけた作業が行われています。
そこでSmart Goでは、もっと従業員を信頼し、コーポレートカードを全員に貸与して、モバイルSuicaに交通費を予めチャージしておけば、精算業務は大幅に簡素化されると考えました。重要なのは、適正利用か否かをシステムに判定させることで企業(経営者)側の不安を払拭することだと思います」