働き方改革&生産性向上のカギはどこにある?(第2回)

Skypeとテレビ会議の相互接続を実現したケーヒン

2018.04.13 Fri連載バックナンバー

 国内・海外に広くビジネスを展開する企業にとって、テレビ会議は遠隔地との意思疎通や情報共有を図る上で、非常に重要なコミュニケーション手段です。2輪車・4輪車に搭載される幅広いシステム製品をグローバルに製造している株式会社ケーヒン(以下、ケーヒン)は、テレビ会議システムを10年ほど前から本格導入していますが、パフォーマンス不足や通信の遅延、運用負荷の増大など、いくつかの課題が浮上していました。同時に、近年導入したSkype for Businessとテレビ会議システムの相互接続を行いたいという要望もありました。同社はどのような手法で課題を解決し、相互接続を実現したのでしょうか。

【株式会社ケーヒンについて】

 1956年に神奈川県川崎市に設立。2輪車および4輪車の気化器の開発・製造を核に事業を展開し、現在は燃料制御系から電子制御、空調など、幅広いシステム製品を生産しています。特に近年は軽量化・低燃費を実現する製品、ハイブリッド車・電気自動車に搭載される製品の開発に注力し、環境負荷の少ないモビリティ社会実現への貢献を目指しています。1980年代初頭より積極的に海外展開を推進し、現在14カ国に開発や生産の拠点を構築し、全世界に製品を供給しています。

 

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コンテンツの切り替え遅延など、いくつかの課題が顕在化

 ケーヒンは、現在国内・海外に50以上の拠点を展開しており、市場の成長が期待されるインドやアジア圏に注目すると同時に、ハイブリッド車や電気自動車に搭載される製品の開発・生産に力を入れています。管理本部 IT部では、国内拠点はもとより、注力すべき海外拠点のIT環境整備をサポートし、事業の伸長をIT運用で支援していくことも重要な使命のであると言います。

 グローバルに事業を推進する同社にとって、テレビ会議は遠隔地同士を結ぶ非常に重要なコミュニケーション手段です。資料を共有したり、実際の製品や生産機械などの映像を共有したりする形態の会議が頻繁に行われていますが、会議数の増加などにより、改善すべき課題がいくつか顕在化していました。

 管理部 IT部 第四課 課長の竹俣典幸氏は、その課題について説明します。

「当社では、約10年前から据置型のテレビ会議システムを本格導入しています。オンプレミスで構築したMCU(Multipoint Control Unit:多地点接続装置)を介して各拠点の接続を行っていましたが、近年テレビ会議数が急増するに従い、同時に多数の会議が開催された場合、MCUのパフォーマンス不足により、共有コンテンツの切り替えにかなりの時間を要するようになったのです。4〜5秒で画面が切り替えられればまだよいのですが、10秒を大きく超えるケースもあり、各拠点から少なからずクレームが寄せられていました」

 ちなみに同社の国内外拠点では、1日に90件ものテレビ会議が行われていたとのことです。実際にシステム運用を担当する今野幸一郎氏は、さらに2つの課題を挙げます。「国内外60カ所の拠点で約130台のテレビ会議端末を導入していましたが、やはり会議数の増加により、特に在籍人数が多い拠点では端末の数が不足し、テレビ会議を行いたいができないという問題も発生していました。また、運用負荷という面では、MCUの運用や不具合発生時の一次切り分けなどにかなりの稼働がかかっており、それを何とか軽減できないかと考えていました」

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「Skype for Business」とテレビ会議システムの相互接続を図る

 これらの課題に加え、オンプレミスで運用されていたMCUの保守が2017年8月末で終了することもあり、IT部 第四課は2016年8月からテレビ会議環境の見直し検討をスタートさせました。

「当社では、2016年からグローバルの情報共有基盤としてOffice 365を導入しており、『Skype for Business』が新たなビジュアルコミュニケーションの手段として加わっていました。自席のパソコンから簡単にテレビ会議ができる環境が整ったわけですが、Skype for BusinessはSkype for Business同士、従来のテレビ会議システムはテレビ会議同士でしか接続ができません。そこでSkype for Businessとテレビ会議システムが相互に接続できれば、参加方法の選択肢が広がり、テレビ会議端末の不足も解消できるのではないかと考えました」と、今野氏はコメントします。

 同社では、重要な会議や参加人数の多い会議や上層部が中心の会議ではテレビ会議システムが多用され、ITの知識が豊富な人や若い年齢層にはSkype for Businessが好まれる傾向があったと言います。異なる階層や年齢層の人たちが同じ会議に参加するケースも多いため、この相互接続は検討にあたって非常に重要な要件となりました。

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シームレスな接続に加え、拡張性や運用面のメリットを評価

 竹俣氏らは、クラウドとオンプレミスの両方を視野に入れ、複数のITベンダーに提案を依頼。さまざまな角度からシステム案を検討した結果、NTTコミュニケーションズとNTTビズリンクが連携して提供するクラウドサービスが選択されました。この提案は、クラウド基盤上にMCUやSkype for Businessゲートウェイを構築してサービスとして提供し、テレビ会議システムとSkype for Businessのシームレスな接続を実現するものです。テレビ会議数の増加にも柔軟に対応でき、運用・保守やサポートデスクを提供できるという運用上のメリットを得ることも大きな特長でした。

 今野氏は、「相互接続の実現はもちろんですが、スケーラビリティとシステムの安定性、運用面の社内負荷を軽減できることも重要な要件でした。今回の提案はクラウド型であるため、今後さらに会議数が増えても対応可能であるという拡張性に優れ、運用・保守をアウトソースできる利点があります。さらに、信頼性の高いNTTコミュニケーションズの既存ネットワークを利用できるため、安定稼動も期待できました。コストも我々の想定内に収まるもので、納得感がありました」と、選択のポイントを挙げます。加えて、豊富な実績や、実際に構築を担当するエンジニアのスキルの高さも重要な安心材料になったと言います。

 この新しいシステムは2017年5月に採用が決定され、同年7月から9月にかけて構築を実施。構築作業は非常に円滑に進みました。「テレビ会議システムとSkype for Businessの相互接続ができるようになることで、接続方法が多少変わり、そこを利用者に周知するために多少手間がかかりました。なるべく以前の方法に近く、わかりやすいことが求められましたが、設定や使い勝手においては、最適な方法を提案してもらえたと思っています」と、今野氏は導入プロセスにおいて注力したポイントに触れます。

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通信品質が大幅に改善され、管理負荷も軽減される

 こうしてケーヒンの新しいテレビ会議環境は、2017年10月から本格稼動を開始。以来、大きなトラブルは無く、安定した稼動を続けていると言いますが、以前の課題はどのように解決されたのでしょうか。

 竹俣氏は、導入効果について以下のようにまとめます。

「使い方の部分では、テレビ会議システムとSkype for Businessがつながったことが非常に大きいのですが、まずMCUが新しくなったことで通信品質が格段に向上しました。コンテンツの切り替えに時間がかからなくなったことに加え、画面や音声の品質も向上しています。特に海外拠点からの評価が高いですね。まだ導入から日が浅いこともあり、明確な数値化はできていませんが、利用者も増加傾向にありますし、遅延に関するクレームも無くなりましたので、コミュニケーションの品質向上や活性化が実現できていると言えるでしょう」

TV会議サービス更改イメージ図

 以前の課題であった運用負荷の部分では、MCUをクラウド化したことでハードの運用・保守や不具合対応から開放され、かなり負荷が軽減された実感があるとのこと。「運用・保守を社外に委託することで、我々は新しいシステムの企画など、IT部門として本来注力しなければならない業務へパワーシフトすることができます」と、竹俣氏は付け加えます。

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さらなるコミュニケーションの円滑化を図りたい

 テレビ会議システムの端末不足に関しては、現在でも若干要望が上がってくると言いますが、Skype for Businessとの相互接続を実現したことで、IT部門としては「端末が不足している場合は、Skype for Businessを使ってください」と誘導することが可能になっています。また、出張先や外出先からでもノートPCからSkype for Businessでテレビ会議に参加できるようになりました。グローバルにビジネスを展開する同社には、さまざまな会議体があり、多様な立場の社員が勤務していますが、今回のテレビ会議環境の改変で、それらすべてが有機的につながったと言えるでしょう。

「テレビ会議端末は各拠点に最低1セットは必要だと思いますので、ゼロにすることはできませんが、徐々にSkype for Businessの方へ利用をシフトしていきたいと考えています。Skype for Businessには高価な専用端末が必要ありませんので、運用にかかるコストも多少低減していけると期待できます」(今野氏)

 さらに、今野氏は今後の展望や期待を語ります。「今後新たに導入したいのは、機械翻訳です。現状は必要に応じて通訳を入れていますが、海外拠点とのテレビ会議は、時差もあり深夜や早朝に行わなければならないことがあり、通訳を入れることができないケースも発生します。また、通訳を入れると、会議時間が長くなってしまうというデメリットもあります。現在でもけっこう精度の高い自動翻訳が開発されていますので、このテレビ会議環境に自動翻訳機能を組み込んでいくことを将来的にぜひ実現したいと考えています。そういう面でも、今後もNTTコミュニケーションズからの提案を期待したいですね」

 環境にやさしいクルマ社会の実現を目指すケーヒン。世界の拠点をつなぐビジュアルコミュニケーション・ネットワークは、今後も同社の事業展開において重要な役割を担うことでしょう。

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Bizコンパス編集部

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