このような取り組みをしながら、対象業務をさらに拡大させる手段としてニーズが高まっているのが、AIとRPAの組み合わせです。
たとえば、自然言語処理で言葉の意味を理解するAI(チャットボット)とバックヤード作業を行うRPAを連携させることで、ヘルプデスク業務をサポートする仮想アシスタントが生み出せます。あるいは音声認識技術と組み合わせることでコールセンター業務でのAIによる自動応対を実現し、その応対内容をRPAが各所に展開することでコールセンター業務の自動化もできます。
中でも、画像認識技術を活用したAI-OCRとRPAを連携させた自動化は、昨今進歩が著しい領域です。宿澤氏は「AI-OCRは、AIによって非定型書類の分類が可能になり、手書き文字の認識率も大幅に上がりました」と説明します。
多くの企業では依然として書類を使用する業務が残っています。宿澤氏は、そうした領域においてAI-OCRとRPAによる代表的なユースケースを3つ紹介します。
「1つ目の帳票登録業務では、PDFにデータ化した請求書をAI-OCRでCSV化し、RPAで各システムへの投入を自動化します。ポイントは、請求書の場合CSV化した請求書を前工程の発注書の原本と照合することで、人手によるチェック業務を介することなく高い精度を実現できる点です。

2つ目はFAX関連業務です。例えば、各店舗からの発注書や申込書などを受け取り、システムへ手入力する業務です。先ほどの請求書とは異なり、発注書や申込書は原本のため、人による最終チェックは必要ですが、これまで手作業で行っていた一連の業務を大幅に自動化できます。
3つ目にフィールドサポートの分野も注目されています。これまで営業担当が訪問先で受け取った申込書や、メーカーの作業員が現地で保守サポートや故障対応を行い、製品番号などのラベル情報を取得する際などは、会社に戻ってシステム登録する必要がありました。AI-OCRとRPAにスマホを組み合わせることで、契約書や製品ラベルの写真をスマホで撮影して送信すれば自動的にシステム投入が完了します。スマホに画像データが残らないアプリを利用することで、セキュリティも担保されます」(宿澤氏)
AI-OCR×RPAのモバイル連携デモ
※デモ動画では、ソリューション内容を分かりやすくするため手動でファイルのアップロードを行っているが、実際はすべて自動化が可能。(スマートフォンアプリは「KAITOセキュアカメラ」を利用)
宿澤氏は、RPAとAIによって自動化できる業務は、さらに拡大すると予想します。
「機械学習やディープラーニングなどで高度な判断が可能になれば、自動化の領域はさらに広がります。例えば、コールセンターで現場の責任者が調整していたシフト作成などの人材の最適配置は、AIによる自動化が進みつつあります」
PCで人間がやっていることは「現場キーマンのRPAへの理解が進むことで、かなりの部分を自動化できます」と宿澤氏は語ります。「3つの解決策」を実行して業務の自動化に取り組むことで、新しい働き方が見えてくるかもしれません。
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