働き方改革&生産性向上のカギはどこにある?

事例で解説!RPA、AI、チャットボット導入の勘所

2018.01.19 Fri連載バックナンバー

 働き方改革が取りざたされる中、いかに生産性高く働けるかが、企業の大きな課題となっています。その解決のためにロボットやAI がオフィスで活躍する時代がやってきています。現在注目されているRPA、チャットボットを活用し、労働力不足の時代を勝ち抜くために、企業はどのように考え、何から着手すればいいのか。

 2017年12月8日開催「AI時代のワークスタイル変革セミナー」(NTTコミュニケーションズ主催)のNTTコミュニケーションズ株式会社 ICTコンサルティング本部 川口直之氏の講演を取材しました。

 

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生産性向上へは「投資時間」と「消費時間」を考える

 大多数の企業が生産性向上を目的とした働き方改革に取り組んでいます。働き方改革の実態調査でも、最も多い取り組みは「長時間労働の是正」です。そのために時間外労働をさせない制度を導入する企業もあるでしょうが、そこには大きな問題点があるとNTTコミュニケーションズ ICTコンサルティング本部 川口直之氏は指摘します。

 労働時間は大きく『投資時間』と『消費時間』に分けられます。前者は企業成長に向けた活動の時間で、後者はそれ以外の時間となります。理想は投資時間が増え消費時間が減ることですが、無理に総労働時間を短縮するとまず減るのは投資時間です。消費時間に分類される作業は、削減対策なしに減ることはないからです。そのため、まずは消費時間に分類される業務を定義し、その削減対策の検討から取り組まれることをお勧めしています。

 消費時間に分類される業務を定義するには、まず自分達の業務を分析する必要があります。しかし労働時間削減に緊急を要している場合、この分析をせずに『他社の事例を探す』→『その事例がうまくはまらない』→『何をすべきかわからない』という負のサイクルにはまるケースが多いと感じています。業務がひっ迫していて分析が行えない現状であれば、明確な消費時間、例えば事務処理時間や移動時間の削減に実際に取り組むことが、有効な対策だと思います」

図1:無理に総労働時間を短縮すると・・・

事務処理時間の削減にはRPAが効果的

 まずは事務処理時間の削減から考えていきます。最終的にはすべて自動化されることが望ましく、そのための分析やフロー変更が重要ですが、実施可能な部分から始めることも可能だと川口氏は明かします。

「一例として、外部データを取り込んで処理を行い、社内システムに投入するような業務について見ていきます。この場合、注目したいのが社外システムからの投入部分です。連携による自動化が可能な社内システムとは異なり、社外システムについては手動で行うしか方法がない場合が多いからです。この手作業をRPA(Robotic Process Automation)を使って自動化することが事務処理時間を減らすセオリーになります」

 ここで川口氏は、RPAの導入事例をいくつか紹介します。

「まずは金融系企業の事例です。この企業では毎朝、担当者が株価を外部の株価情報サイトから検索して、手作業でエクセルに転記し、とりまとめて社内システムで活用していました。このように担当者がPCの前でコピー&ペーストする単純作業をロボットで自動化します。これにより、入力ミスのようなヒューマンエラーが無くなり、格段に作業のスピードも上がりました。人手を介さないため、設定すれば深夜などの無人の時間帯に作業をさせることもできます。こうした事務処理時間は、皆さんの周りにもたくさんあるのではないでしょうか。

図2:株価情報の取得RPAのイメージ

 続いての事例は事務用品の発注システムをRPAで自動化したケースです。担当者が各所から集まった申請書をもとに、1件ずつ外部システムにコピー&ペーストで投入、発注していきます。作業は単純ですが、ミスをすると大量の誤発注につながるため、慎重な作業が必要でした。この作業をRPAで自動化したことで処理時間が速くなり、人為的な入力ミスがなくなり、24時間の自動対応が可能になりました。処理速度は向上し、人手だと5、6時間かかっていた作業が1時間以内で終えるようになりました。結果として人件費の削減に加え、労力を投資時間に回せるようになったのです」

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移動時間はチャットボットで有効活用

 もう1つの移動時間については、時間そのものをゼロにはできないため、移動時間の活用が求められます。その際に注目すべきポイントは使いやすさと、二重登録だと川口氏は指摘します。

「移動時間に利用できる身近なデバイスといえばモバイル端末です。移動時間にメール閲覧を行っている方も多いと思いますが、それ以上の業務を行えていない状況だと思います。これにはいろいろな要因がありますが、一番は使いづらさが妨げになっていると思います。モバイル端末から複雑な情報を入力するのは難しく、ユーザーは使用を控えるようになり、結局は会社に着いてから行えばいいと考えるようになるのです。この使いづらさを解消するひとつの答えがチャットボットを使ったSaaS連携と言えます」

 ここで川口氏は、チャットボットの導入事例をいくつか挙げます。

「1つ目は日報登録にチャットボットを利用したケースです。日報は入力までの手順が多いため、オフィスでしか記入・登録が行えず、従業員は打ち合わせ終了後に一度会社に立ち寄って作業していました。これが外出先からの直帰や在宅勤務といった柔軟なワークスタイル実現の妨げになっていたのです。

図3:日報登録チャットボットの導入前イメージ

 そこでこの会社は、移動時間にモバイルデバイスで日報登録ができる仕組みを検討します。できる限りモバイルデバイスからの入力を削減するため、チャットボットを使ったSaaS連携を導入します。ポイントとなっているのは、最低限の入力で日報登録ができることです。

 チャットボットがスケジューラーとSFA(日報)システムを連携することで、入力を簡略化してくれます。チャットボットはスケジューラーに外出がある場合、スケジューラー上の日付や時間、お客さま名、商談名などを自動的に日報へ引き継いでくれます。ユーザーは日報の内容を入力するだけなので、移動中でも簡単に登録できるのです。」

図4:日報登録チャットボットの導入後イメージ

 続いては会議室予約にチャットボットを利用した事例です。メンバーと会議室の空き時間を検索し、資料共有を含めた開催予約を実施するのは、手間のかかる作業です。こうした時間と労力の無駄をなくすための仕組みを川口氏は紹介します。

「チャットボットは何の会議かを確認した後、これまでの傾向から招待するメンバーを確認してくれます。また人数に応じた大きさの会議室の空き時間を探し、時間の候補を出してくれますし、会議目的に応じた資料を推奨してもらうことも可能です」

図5:会議予約チャットボットのイメージ

 上記のような仕組みを導入するには、AIの活用も重要になり、それには準備が必要だと川口氏はアドバイスします。

「会議のメンバー確認や資料の推奨のような自動化には、AIを活用していますが、それには教師データが必要です。教師データとは、AIが正解を学習するための、人が蓄積してきたスキル、ノウハウになります。難しいものではなく、過去にA社さまの打ち合わせには誰が参加していたか、といったことも教師データとなります。これらをSaaSを有効活用しデータとして蓄積しておくことが、AIを搭載したチャットボットの導入の鍵になってくると思います」

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ユーザーを“ワクワクさせる”仕組みが成功のカギ

 業務効率化に向け導入したシステムが継続的に利用されるかは、使いやすさ以外に “ワクワク感”も重要であると川口氏は指摘します。

「いわゆるUX思考、デザイン思考と呼ばれるものです。社内にシステムを根付かせるにはユーザーの視点から親しみやすい、楽しめるものを提供する必要があります。たとえば、チャットボットに質問したとします。一方はURLのみが表示されるだけ。もう一方は『この件は難しくて大変ですよね』『追加のチュートリアル、関連サービスもありますよ』といった対応ができるとします。ユーザーが継続して使いたくなるのは圧倒的に後者ではないでしょうか」

図6:ワクワクデキる・できない場合の事例

 NTTコミュニケーションでもLINE公式アカウントでAI搭載のチャットボットを利用しています。会員登録すると「リス太」というオリジナルキャラクターが、スマホライフを快適、おトクにする情報を届けてくれます。リス太には家族がいて、好きなものもあります。そういう設定も含めてユーザーに親しみを感じてほしい、楽しんでもらいたい気持ちがあるのです。

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連携システム全体を任せられるパートナー選びが重要

 生産性向上に向けた取り組みにおいて、パートナー選定も大切だと川口氏は最後に付け加えます。

「RPAやチャットボットは、他のシステムと連携させることにより効果が出てきます。そのためには、それらをつなぐネットワーク・セキュリティ対策も含めて、すべてを一体として考えることが重要です。ツールの選定を急がれるお客さまが多いと思いますが、SaaSを含めたシステム全体の提案から構築、運用を総合的に相談できるかを踏まえ、パートナーを選ぶべきでしょう」

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Bizコンパス編集部

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