通信コスト削減や、デスクにしばられない柔軟な働き方に対するニーズの高まりなどを背景に、そしてPBX老朽化に伴う電話環境の見直しなどをきっかけに、電話のIP化やPBXのクラウド化を検討する企業が増えています。
電話は、メールやチャット等でのコミュニケーションが主流となりつつある昨今においても、企業内外のコミュニケーションにおいていまだに必要不可欠であり、手軽で便利なツールと言えます。
電話まわりの環境を変更することは従業員へ負担を強いる場合もありますので、移行にあたっては慎重かつ使い勝手を熟慮することが求められます。また、信頼性やセキュリティ面など、経営層へ説明して理解を得なければならないことはいろいろあります。とはいえ、将来を見据えたコミュニケーション環境を構築することも必要であり、手をこまねいて待っているわけにはいきません。それでは、どのようにして進めていけばいいのでしょうか。ケースごとにみていきましょう。
コスト削減に向けた取り組みは、どの企業でも注力している施策です。特にオンプレミスで運用しているPBXにおいては、「削減したい費用」として以下のようなものがあげられます。
・組織変更や人事異動に伴う設定変更費用
・拠点間の通話料
・ハードウェア保守に伴う定期的な費用
・法定停電や災害に伴うサービス停止による、間接的な費用
コストだけでなく、業務改善や通話品質の向上といった点においても、解決すべき課題はいろいろあります。企業はどのように対処しているのか、以下に事例を紹介します。
拠点間通話の無料化を目的に、固定電話をIP化
“本社移転を機に固定電話を刷新!東京建物不動産販売”
専用線による内線通話ではなく、外線通話のための回線として各拠点で導入するだけで、それらの拠点間の通話コストが無料に。Web画面上で手軽に転送設定が行える点もメリットも
業務拡大に対応し、オンプレより大幅にコストを削減できるクラウドを採用
“コールセンターの課題をクラウドで解決した日本郵便”
「新たな拠点として渋谷郵便局内のスペースを使うことになりましたが、設置されていたPBXは空きポートが無く回線の追加が難しい状況でした」
内線用PHSをやめて、コミュニケーション環境を変革する
“IHIが選択したPBXクラウド化とFMCの連携”
「広い生産拠点内において多くの人が移動しながら仕事をしている中で、通話環境をどう 再構築するかということが大きなテーマになっていました」
“継ぎはぎ”により高コスト、低品質になっていた音声環境を見直す
“クラウド化というブライトンコーポレーションの選択”
「 “継ぎはぎ”的な構成であったため、結果的に通信回線コストが高額になっていました。もうひとつ看過できない問題がありました。それは、特定の状況における音声品質の低さです」
近年、働き方改革に取り組む企業が多く、電話をはじめとするコミュニケーション環境が推進のカギを握っているケースが見受けられます。従来の電話環境の課題として、以下のものが挙げられ、リモートワーク実現の足かせになっているようです。
・オフィス不在者への電話取り次ぎ時に、連絡がつかないことがある
・従業員の携帯は会社が貸与しているため、携帯電話と内線間の通話コストがかさむ
・BYODを検討しているが、個人の090番号を通知したり、個人の携帯電話端末内に顧客の電話番号を登録したりするのはセキュリティ上好ましくない
それらを解決する対策としては、「スマホ内線化により、社内外の電話連絡をスムーズにし、業務効率アップにつなげている」という事例が多くあります。「BYODによる連絡が取りやすい電話環境づくり」や「スマホでのWeb電話帳連携」も挙げられます。その際に留意したいのは、スマホの最新セキュリティ対策です。
企業はどのように対処しているのか、以下に事例を紹介します。
「優秀な社員を失いたくない」と乗り出した在宅勤務導入
“トラスティルグループがスマホ内線化で在宅勤務実現”
経験豊富で優秀な社員から家族の転勤に伴う離職の相談が寄せられたことをきっかけに、在宅勤務体制の確立を決断します。助成金制度も活用してスマートフォン内線化サービスを導入した同グループは、コストを大幅に節約しつつ、ワークスタイル変革を成功させました。
個人端末の内線化や既存電話との併用が決め手
“PBXクラウド化で得た、コスト低減ともう一つの効果”
社員のスマートフォンにArcstar Smart PBXの専用アプリをインストールすることで、会社の内線電話として使うことが可能になり、社員が通話料金を自己負担していた不満も解消できます。
個人所有のスマートフォンをMDMで管理下に置くのはハードルが高い
“知っておきたい!スマートフォン管理の最新トレンド”
「MAM」では端末の中で個人と業務の領域を分離し、業務領域のみデータの暗号化などによってセキュリティを確保します。これにより、業務でも利用している個人所有の端末が第三者の手に渡っても、機密情報の漏えいを防げます。
新しいワークスタイルを経営層に承認させ、従業員に定着させていくには
“災害に強い働き方をオフィスやコンタクトセンターに”
「Web電話帳」を利用すれば、スマートフォンを紛失しても大切な顧客や取引先の個人情報を保護することが可能です。(中略)在宅勤務の実現、あるいはスマートフォンのBYOD導入による業務利用などといったワークスタイルの変革では、社内からの抵抗を受けることも考えられます。
事業の円滑な情報連携に不可欠な電話環境は、いわば企業の生命線。ひとたび障害が発生した際は迅速な対応が求められます。また、海外展開企業ならば、グローバルでの利用やグローバルでのコスト削減も視野に入れたいものです。その際、以下のような課題が挙げられます。
・内外線システムの障害時に、PBXベンダとLAN・WANベンダとの切り分けが大変
・海外拠点とのコミュニケーションに外線通話を用いているため通話コストがかさむ
・海外拠点へのシステム投資に関して、シームレスな運営が困難に感じられ二の足を踏んでいる
それらを解決する対策としては、「音声基盤のIP化、クラウドPBX検討時は、構築だけでなく『複数ベンダ間の調整』『障害時の切り分け』『復旧までの流れ』といった運用面についても深く検討しておくこと」でしょう。国内拠点、海外拠点を問わず1社でワンストップによる機器導入、運用・保守ができることがベストであり、それによって、コスト削減や投資効果の最大化、スムーズな運用・保守のアウトソーシングが可能になります。
企業はどのように対策しているのか、以下に事例を紹介します。
海外拠点のガバナンス強化とコスト削減に成功
“固定電話の鎖を切ったANAの最先端音声基盤とは”
国内外の拠点にある電話機約22,000台、PBX約100台からなる従来の音声基盤の運用、管理、保守をすべて自営で行っていました。(中略)「ローカル拠点にガバナンスを効かせること。さらに、事業のグローバル化に伴い増加が予測される国際通話料の抑制、大規模空港で利用していた電話サービスのコストを抑える提案にも期待しました」
グローバル展開を支えるクラウド基盤とネットワーク
“クラウド化が最適解!りらいあコミュニケーションズ”
「さまざまな外国語への対応を国内の人材だけでまかなうのは難しいと考えたとき、たとえば私たちが持っているタイやベトナムの拠点と日本をシームレスに接続すれば、海外の人材を使って対応することができるでしょう。これを実現する上で重要になるのが基盤とそこにつなぐネットワークです」
「クラウド型PBX」「クラウド型UC」サービスの選択のポイント
“なぜいま企業がクラウド型PBXを選択するのか!?”
クラウド上で提供されるサービスから付随する外線/IP電話サービスまで、ワンストップで運用保守対応が可能であることも重要です。仮にトラブルが発生しても、運用保守の窓口が一元化されていれば、ユーザー側で問題を切り分けて適切な窓口に連絡するといった手間が不要になり、運用面での負担が大幅に軽減されます。
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