日本の転換期に訪れた「健康経営」の波!(第1回)

健康経営とは?アンケート調査結果から実態を探る

2017.04.28 Fri連載バックナンバー

 従業員の健康管理や健康増進を重要な経営課題として捉える、「健康経営」という考え方に注目が集まっています。大手企業を中心に取り組み事例が増えており、今後は事業規模に関わらず多くの企業で導入が進むことが予想されます。

 健康経営が、いま日本の企業にどの程度浸透しているのか、企業はどのような意識を持って取り組んでいるのか、Bizコンパスで独自に実施したアンケート調査の結果をもとに、その実態に迫ります。

 

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国策としても重視されている「健康経営」とは

 「健康経営」という考え方は、アメリカの経営心理学者であるロバート・ローゼンが1980年代に最初に提唱したとされています。

 これは、従業員の健康管理や健康増進を図ることを、将来的に企業の収益性などを高める投資であると捉え、戦略的に取り組もうというものです。身体面とメンタルの両面から従業員の健康状態をチェックし、個人の活力向上や組織の活性化を図っていくことで、生産性のみならず、企業の価値向上にもつながると期待されています。

 近年特に人手不足や長時間労働、サービス残業などが社会問題となっていることも、この取り組みを後押しする要因となっていると言えるでしょう。

 国策としても、日本再興戦略に位置付けられた「国民の健康寿命の延伸」の一環として力が注がれています。2015年からは、経済産業省が東京証券取引所と共同で、「健康経営」に積極的に取り組んでいる企業を「健康経営銘柄」として選定し、公表しています。

 「健康経営銘柄」は、東京証券取引所に上場している企業の中から、健康経営に優れた企業を調査に基づいて選定。長期的視点からの企業価値を重視する投資家にとって魅力ある対象として紹介することで、企業における「健康経営」を促進していこうという狙いがあります。3回目となる「健康経営銘柄2017」(2017年2月公表)では、以下の24社が選定されています。

「健康経営銘柄2017」選定企業

「健康経営」の浸透度や取り組み、「CHO」の設置状況

 Bizコンパスでは、現時点における「健康経営」の取り組み状況を把握すべく、“『健康経営』緊急アンケート!”として、企業や団体を対象にインターネットによるアンケート調査を実施し、68の企業から回答を得ました。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
<アンケート実施概要>
・調査テーマ :「健康経営」緊急アンケート!
・調査実施期間:2017/03/06~2017/03/22
・総回答数  : 68サンプル
・調査方法  :インターネット調査
・調査機関  : NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション
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 では、具体的にアンケートの結果を見ていきましょう。

・「あなたは『健康経営』という言葉を知っていましたか?」

→「知っていた」:47% / 「知らなかった」:53%

あなたは『健康経営』という言葉を知っていましたか

 

・「従業員の健康管理・健康づくりの推進」に関して現在実施しているものは?

→「各種健診や人間ドックの補助」が72.1%と最多、「メンタルヘルスチェックの実施」、「長時間労働を抑制する施策」などが高い割合

「従業員の健康管理・健康づくりの推進」に関して現在実施しているもの

「健康経営」という概念の浸透度は高くないものの、従業員の健康チェックには既に多くの企業が取り組んでいることが分かります。

 

・「従業員の健康管理・健康づくりの推進」に関して今後取り組んでいきたいものは?

→「有給休暇取得の奨励」と「健康教育の実施」、「従業員満足度調査の実施」が多く挙げられている

「従業員の健康管理・健康づくりの推進」に関して今後取り組んでいきたいもの

 前項の現在実施しているものと比較すると、「健康教育の実施」がプラス13.3%、「従業員満足度調査の実施」がプラス13.2%となりました。

 

・健康管理最高責任者(CHO:Chief Health Officer)を設置していますか?

→「設置している」企業は4.4%。「設置を検討している/設置する予定がある」との回答が16.2%で、半数を超える51.5%が「設置する予定はない」と回答

健康管理最高責任者(CHO)を設置していますか

 「健康経営」に積極的に取り組んでいる企業の中には、その取り組みを牽引する最高責任者として、CHO(Chief Health Officer)を置くケースが増えています。

 内訳を見てみると「設置している」と答えた企業はすべて従業員が2,000人以上の規模ですが、「検討している/予定がある」とした企業の規模は、100人未満から5,000人以上まで広範にわたっています。健康経営は、規模の大きい企業が先行して進めていますが、今後は規模を問わず広がっていくとみられます。

健康管理最高責任者(CHO)を設置していますか?(従業員規模別)

 

・「従業員の健康管理・健康づくりの推進」を主導している責任者は?

→「部長クラス」が約4割と最多、「経営者/CXOクラス」も25%を占める

「従業員の健康管理・健康づくりの推進」を主導している
責任者の方の役職クラスをお答えください

 まだCHO設置には至っていないながら、経営的な視点で健康管理に取り組んでいる企業が多いと考えることができそうです。

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「コラボヘルス」に取り組んでいる企業の特徴

・コラボヘルスとは何か

 働く人々の健康増進は、医療費の抑制という観点でも非常に意味のある取り組みです。近年、コラボヘルスとは、健康保険組合と事業主が協力・連携して従業員の健康維持・増進に効果的に取り組むことで、近年導入する企業が増えています。

 コラボヘルスは、従業員の健康に関わるデータを電子化して管理する「データヘルス」と深く結びつくものです。コラボヘルスには、各従業員と事業主が健康診断の結果を正確に認識し、きちんとした計画に添って健康の改善や増進を進めていく必要があるからです。

・コラボヘルスが図られていますか?

→「健康保険組合と企業が連携して実施している」が39.7%で、「企業が単独で実施している」が36.8%。ほぼ4割の企業がコラボヘルスを実施しているが、同数近くは企業単独で健康管理に取り組んでいる

「従業員の健康管理・健康づくりの推進」の取り組みは、
健康保険組合との連携(コラボヘルス)が図られていますか

 コラボヘルスを実施している企業では、従業員の健康づくり・健康管理を主導している責任者の役職について、約6割が本部長クラスもしくは経営層というデータが出ました。一方、コラボヘルスをまだ実施していない企業の場合、本部長クラス以上は28%にとどまっています。コラボヘルスの推進は、上位役職者が主導するトップダウンの体制が鍵を握っているのかもしれません。

「従業員の健康管理・健康づくりの推進」を主導している役職

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健康管理におけるICT活用は、今後進む見込み

 「健康経営」を効果的に運用していくには、健診データの管理や遠隔監視/指導といったICTの活用が必要になってきます。

 

・現在実施しているICTを活用した取組は?

→7割を超える企業が「特になし」。取り組み有りの企業は、インターネットを活用した情報提供や共有がメイン

「従業員の健康管理・健康づくりの推進」で、
現在実施しているICTを活用した取組みをお答えください

 従業員の健康管理に関して何らかの施策を行っている企業の多くが、まだICTの活用に着手できていないようです。一方、健康管理という領域でビッグデータを活用している企業はすでに4.4%あり、まだ一部ではありますがその活用が始まっています。

 

・ICT活用を推進するポイント

 ICTを活用している企業の70%は人事部門が取り組みを主導しているのに対し、ICTを活用していない企業では総務部門による主導が62.5%、人事分門は20.8%という比率。従業員の健康づくりを人的資産の課題として捉えているか否かが、1つのポイントとなっているようです

「従業員の健康管理・健康づくりの推進」を主導している部署はどこですか

 

・今後実施を検討しているICTを活用した取り組みは?

→「特になし」が半数を超えているが、一定の企業が将来的にICTを活用していきたいという姿勢を持っている

「従業員の健康管理・健康づくりの推進」において、
今後実施を検討しているICTを活用した取組みをお答えください

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健康経営の課題は?――先進的取組の事例や成果が今後の指標に

 今回調査を実施した企業が、現在どのようなことを課題として捉えているのか見ていきましょう。

 

・「従業員の健康管理・健康づくりの推進」における課題

→「現場の社員の意識が低い」が最多で、半数に迫る48.5%。次に「施策実施に向けた社内体制が整備できていない」と「社員の健康に対するモチベーションをあげる仕組みができていない」という回答が同数の38.2%

「従業員の健康管理・健康づくりの推進」において、課題となっているとこは何ですか

 「管理職の意識が低い」「施策の効果を測定する指標がない」といった回答も多く、従業員だけでなく、管理職の意識向上も課題として捉えられているようです。また、意識や意欲を向上させるための体制や仕組みづくりも、今後取り組むべき課題として認識されていると言えます。

 このように、今回の調査結果を見てきましたが、冒頭でも述べた長時間勤務などを問題とする社会的背景もあり、働き方改革への関心は着実に高まっています。先進企業の取組内容、導入しやすいICTサービスなどの事例や成果が広まってくれば、健康経営に本格的に取り組む企業も今後増えていくでしょう。

 次回は、経済産業省 商務情報政策局 ヘルスケア産業課への取材を通じて、日本企業の現状や課題、今後の展望等について詳しく解説します。

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