Taniumのもう1つの大きな特徴が、「リニアチェーン・アーキテクチャ」と呼ばれる、パッチファイルの配布を効率的に行う機能が備えられている点です。
たとえばマイクロソフトがWindowsのアップデート時に配布しているパッチファイルは、場合によってはファイルサイズが数百MB~数GBに達することがあり、ダウンロードには相当な時間を要します。特にインターネット回線や社内ネットワークの帯域に十分な余裕がないケースでは、パッチファイルがネットワークを圧迫し、通常業務に支障をきたす恐れがあります。
マイクロソフトでも、企業内でのパッチ適用を効率化する仕組みである「Windows Server Update Service」(WSUS)や「Microsoft Endpoint Configuration Manager」(MECM、旧System Center Configuration Manager)を提供しています。これは1台のWindows Serverがダウンロードしたパッチファイルを社内のPCに展開するというもので、インターネット回線の帯域消費を抑える狙いがあります。
しかしWindows Serverから各PCへパッチを配布する際には、当然社内ネットワークを使うことになります。そのためクライアントPCの台数が多ければネットワークの負荷は高まり、パッチが行きわたるまでに時間がかかったり、うまく配布できなかったりといったトラブルが発生してしまいます。パッチが適用できなければ、端末がマルウェアに感染してしまう可能性も高くなってしまいます。
一方、Taniumのリニアチェーン・アーキテクチャでは、パッチファイルを64KBの「シェード」と呼ばれる単位に細かく分割して配信します。シェードが不足している場合は、LAN内のエージェント同士で補完し合うことで、パッチファイルを構成していきます。
これにより、大容量ファイルをPCごとに配信するよりもスムーズにパッチが配信できることになります。機器コストや運用コストの削減にもつながり、ユーザーが通常業務に支障をきたすこともなくなるでしょう。
単にパッチファイルを配信するだけでなく、パッチの適用状況まで細かくチェックできることも、Taniumのメリットです。
「Taniumを利用すれば、パッチが適用されているかどうかだけでなく、その際に必要となる再起動が行われているか否かまで、検索をかければ一発で把握できます。管理者はその結果から、パッチが適用されていない、あるいはエラーなどによって適用に失敗しているPCを見つけ出し、適切にリカバリーを行うといった運用が可能になります」(近藤氏)