IoTのテクノロジーは幅広い領域での活用が期待されていますが、一方でセキュリティにおける新たなリスクとなることも明らかになりつつあります。たとえば自宅で使っている家電製品がマルウェア に感染し、外部からのコントロールを許してしまうといった状況に陥れば、実生活の安全が脅かされることにもなりかねません。このような状況にどう対処していくべきか。NTTコミュニケーションズ株式会社のセキュリティエバンジェリストである、小山覚氏にお話を伺いました。
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セキュリティ対策の“常識”が通用しないIoTの世界
あらゆるモノをネットワークにつなぐIoT(Internet of Things) は、私たちの生活に着実に浸透しつつあります。すでにテレビやHDDレコーダーをネットワークに接続することは珍しくなく、さらにGoogle HomeやAmazon Echoといったスマートスピーカー の登場により、家中の家電製品をネットワーク経由でコントロールするスマートホームも夢物語ではなくなっています。
こうしたIoTは新たな利便性をもたらす一方、「セキュリティ面から見ると、いいことばかりではない」とNTTコミュニケーションズの小山覚氏は指摘します。
「従来のセキュリティ対策は、Windowsというプラットフォームが大きな役割を果たしていました。脆弱性の解消といった目的で毎月のようにOSがアップデートされるほか、アプリケーションに対しても修正プログラムやパッチが提供されます。さらに言えば、ウイルス対策ソフトを購入してPCなどにインストールすることもできます。一方、IoTの世界ではOSやアプリケーションがアップデートされないケースも多く、またウイルス対策ソフトも販売されていません。このような状況でセキュリティ対策に取り組んでいかなければならないことが、まさにIoT分野の課題ではないでしょうか」
Windowsが守ってきたセキュリティの終焉