2021.02.24
コロナ後に求められる「理想のオフィス」とは?第1回
テレワークは増えたけど、やっぱり会社で働きたい!?オフィスに対する企業の本音
著者 株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC) 田中良憲
「コロナで地方移住が増加」って本当? 住宅ニーズへの変化
急速なテレワーク浸透は、私たちの住まいへのニーズにも大きく影響を与えている。
株式会社リクルート住まい・2020年5月調査によると、緊急事態宣言をきっかけにしたテレワークスタートにより「テレワークに対する不満」項目が大きく変化したことがわかった。上位には「仕事専用スペースがない」「仕事用のデスク・椅子がない」「モニターなどの備品が不十分」と、自宅の設備面にかかわるものが多い。
今後住み替えたい住宅の希望としては「今より部屋数を増やしたい」「リビングスペース、個室数を増やしたい」回答が上位を占めている。在宅勤務継続のための「自宅のオフィス化」を想定したニーズ傾向がよく表れている。
テレワークに対する不満(複数回答)

今後住み替えたい住宅の希望

一方で「住むエリア」に着目すると、コロナ前に一般的によく言われていた「在宅勤務・テレワークの定着による郊外・地方への移住」という「柔軟な働き方の一つの姿」は予測されていたトレンドとなっておらず、むしろ「都心回帰」に逆行していることが興味深い。株式会社オープンハウスの調査によると、購買意欲のある20代・30代の購入検討トレンドは、「都心6区」(千代田、中央、港、新宿、渋谷、文京)がもっともポイントが上昇していることがわかった。
これは、完全に企業側の働き方が「完全な在宅勤務・テレワークとなっていない」ことが原因だと考えられる。「在宅勤務に慣れた分、通勤を負担に感じる」「数日の出社のために通勤電車に長く乗りたくない」という新しいニーズの表れだ。
20代・30代マンション購入検討エリア(複数回答)

これらのことから、2021年は「週に数日・数時間は在宅勤務等のテレワーク、週に数日・数時間出社して働く」という働き方が大多数を占めることとなるであろう。