顧客情報を一元的に管理できる環境が整ったら、次に求められるのはMRのスキルの高度化だ。必要とされる第一の要素は、医師からパートナーと認められるレベルの豊富かつ最新の知識だ。治療プロトコルの複雑化を踏まえた上で、新薬の作用機序や効用、副反応などの情報を正確かつ迅速に提供できる能力が、今まで以上に重要となる。
第二の要素は、高度なリモートディテーリングツールの活用力だ。患者疾患に関わる機微な情報をやり取りする以上、ツールは高度なセキュリティを実装していることは当然として、未承認・適応外薬の情報提供に必要な署名をオンラインで実現できる機能や、スマートフォンアプリでMRと常時連絡が取れる機能、薬剤の作用機序をビジュアルで見せられる機能など、医師のニーズを満たす高度な機能が求められる。当然ながらMRは、こうした高度なツールを使いこなすスキルを持つだけではなく、AIなどを活用したオンラインのタイムリーな情報提供力の向上と合わせて、リアルな場での深い情報提供を組み合わせていく力が求められる。
こうした能力を身につければ、顧客満足度の高いMRとして医師にとって必要不可欠なパートナーとして認識されることになるだろう。
近年、AIやバイオなどのテクノロジーが劇的に進化したことで、新薬開発期間が短縮され、医療機器も日進月歩で進化し、治療プロトコルの研究が進み、医療現場は変化の只中にある。当然、MRもこうした環境変化に即して進化し続けなければ生き残れない。ニューノーマル時代のMRに求められるのは医療情報の提供だけではなくなることも十分考えられ、そうなれば「MR:Medical Representative(医療情報担当者)」という職種名を再定義しなければならない日も、そう遠い未来の話ではないのかもしれない。