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パラダイムシフトに直面する製薬業界、 ニューノーマル時代に求められるMR像とは
2021.01.20

ニューノーマル時代にビジネスはどう変わるか第1回

パラダイムシフトに直面する製薬業界、 ニューノーマル時代に求められるMR像とは

著者 Bizコンパス編集部

 製薬業界におけるMR(医療情報担当者)の人員減少に歯止めがかからない。新型コロナウイルス感染拡大で医療機関が訪問自粛要請を行なった影響が一因ではあるが、MRの人員はコロナ禍以前から6年連続減少しており、業界の構造的な課題がその背景にある。近年の市場環境の変化を分析するとともに、ニューノーマル時代に求められるMRの在るべき姿、収益向上につながるツールについて、製薬業界の現職者へのインタビューをもとに考察し、製薬業界の今後を展望する。

製薬業界の構造的変化を受けてMRの人員は減少の一途

 MRの人数は、2013年以降6年連続で減少しており、2020年はコロナの影響で、さらにそのスピードに加速がついた。MR減少の原因は、以下の3つの要因が考えられる。

 第一の要因は、主戦場の変化だ。MRの仕事は、主に3つの職域にわけられる。生活習慣病や症状の軽い患者に処方する「プライマリーケア」領域、がんなど腫瘍系を扱う「オンコロジー」領域、希少疾患を扱う「スペシャリティケア」領域だ。

 一昔前まで主戦場は「プライマリーケア」だった。大手製薬会社は「ブロックバスター(圧倒的なシェアを誇る新薬)」と呼ばれる武器を手に圧倒的なシェアを獲得し、大量のMRを全国に配置して営業をかければ利益を得ることができた。しかし、ブロックバスターの特許が次々に切れ、安価なジェネリック薬品が市場に雪崩れ込んだことで風向きが変わった。高額報酬のMRを稼働すればするほど、利益が上がらなくなったのである。

 主戦場は「オンコロジー」領域へ移った。この市場は薬価も高く、がん専門医の数も多いためMRの役割も重要性を増した。しかし、テクノロジーが進化するにつれ、がんのミューテーション(遺伝子変異)に応じた新薬などが次々に開発され、競争が激しさを増してきた。さらに後述するフォーミュラリー(疾患ごとに使用できる薬剤を制限する手法)の影響で、営業力だけで利益を上げることが難しくなってきた。こうした変化を受け、製薬会社が今最も注力しているのは、薬価が高く競争の少ない「スペシャリティケア」領域だ。しかし、希少疾患はその名の通り治療数が少ないので、MRの人員もさほど多くは必要ない。こうした市場環境の変化が、MRの人員減少の大きな背景となっている。

 第二の要因は「処方決定者の多様化」だ。近年はインターネットで知識を学び「この薬を処方してほしい」と指定する患者が増えるなど、必ずしも医師が処方を決定する時代とは言えなくなっている。それに加えて医療費削減の目的で、行政が疾患ごとに処方できる薬剤を制限する「フォーミュラリー」が世界的に進み、行政が処方決定権を有する時代となってきた。MRは、医師に気に入られたところでフォーミュラリーがあるため、自社の薬を使ってもらえないケースも出てきている。こうした背景を受け、MRは人海戦術型ではなく、より専門的な知識と戦略的な営業活動が求められるようになった。

 第三の要因は「デジタル化」だ。製薬業界では以前から「リモートディテーリング」と呼ばれるオンライン営業が取り入れられていたが、コロナ禍でこの流れが一気に進み、足で稼ぐタイプの仕事がほとんどなくなった。しかも、MRが訪問しなくても薬剤の売上が落ちなかったことが、“MR不要論”という風評につながっている。

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