世界で最も早くSARS-CoV-2ウイルスの発生および感染拡大を予測したのは、カナダのBlueDot社でした。
BlueDot社は、公式の医療情報のみではなく、非構造なビッグデータ(民間航空便を利用している世界の動き、ヒト、動物、昆虫の個体数データ、人工衛星から得られる気候データ、ジャーナリストや医療従事者から得られる現地の情報等)も活用し、機械学習と自然言語処理技術を活用した解析を行っています。
今回のSARS-CoV-2発生については、中国の記事の中で、武漢における魚介類や生きた動物を扱う市場に関連した27件の肺炎患者を報告したものをピックアップし、その後の感染拡大予測については、航空会社のチケット発券データを活用して、武漢と関連性の高い都市を算出しパンデミックを予測したものでした。
彼らが算出した、武漢からの旅行者数が多い国の感染症脆弱性指数(IDVI)スコアの高さと、実際に移動する人数の多さの観点から、バンコク、ソウル、台北、東京に広がることが正確に予測されていたことがわかります。

感染の予測や感染による死亡者数予測については、個人のデータサイエンティスト(Youyang Gu氏)が他の研究機関よりも高い精度を出し続けている事例や、カーネギーメロン大学のソーシャルディスタンス有無の影響なども提示した予測モデルの取り組み、シンガポール工科設計大学の収束日予測の取り組みなど、様々な予測モデルにおいてAI技術が活用されています。
今回のSARS-CoV-2感染の広がりから、ニュースなどでもデータに基づいた感染の予測や死亡者数の見込みが日々報告されています。世界的な取り組みで、より精度の高い予測モデルが出てくるほど、我々もパニックを起こさず、先の見通しを立てながら、日々の生活を安心かつ注意しながら過ごせることが期待されます。
今回はウイルスそのものと闘うという観点から、「治療」「診断」「予測」に活用されるAI技術について取り上げました。技術の発展が、そのままAfter/Withコロナ時代に活用される世界に突入しており、これからも新しいAI技術の動向に注視していきたいと思います。
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