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AIはどうやって、新型コロナウイルスの治療/診断/予測をしているのか?
2020.07.15

With/AfterコロナにおけるAI技術の可能性第2回

AIはどうやって、新型コロナウイルスの治療/診断/予測をしているのか?

著者 島田健一郎

診断のためのAI技術

 AIによる画像診断は、CTやMRIなどの放射線画像を用いた肺がんの診断や脳の動脈瘤発見など、医師の意思決定をサポートする形での活用が増えています。今回のSARS-CoV-2においても、PCR検査の診断時間の問題が取り上げている中で、AIによる診断の研究開発は各国の研究機関等でも早くから行われており、論文なども数多く発表されています。

 Nature紙に掲載された“Artificial intelligence–enabled rapid diagnosis of patients with COVID-19”では、深層学習を用いた感染確率の算出方法として、以下の3つのパターンが提案されています。

(1)胸部CT画像のみを用いて、CNN(畳み込みニューラルネット)を適用したパターン
(2)臨床情報(患者の性別、年齢、熱の高さ、白血球の量など)に各種機械学習を適用したパターン(最終的には精度が高かったMLP(多層ニューラルネット)を採用)
(3)胸部CT画像と臨床情報の両方の特徴量を組み合わせた合同モデルパターン

 同紙では、実際のフェローレベルの放射線科医2名の診断結果との比較を行っています。その結果、診断力は提案されたいずれのモデルでも、判別精度の良さや見落としの少なさという観点で、放射線科医の結果より良好な傾向が見られました。

 企業側でも今回のウイルスに対し、CTスキャン画像を用いたAI画像診断に対応する動きは早く、NTTデータとインドのDeepTek社によるAI画像診断ソリューションをSARS-CoV-2向けに機能拡張した事例や、エムスリー社とアリババクラウド社によるディープラーニングを活用したAI画像診断サービスの販売を開始する事例などが出てきています。対応スピードと正確性の高いSARS-CoV-2感染診断が実施されることで対策が早まることが期待されます。

 特にアリババ社のCT画像診断AIは、96%の精度かつ3〜4秒で検出が可能と発表されており、すでに中国では160以上の病院で採用される予定とのことです。

 CT画像の取得という部分に関しても、富士フイルム社も出資しているイスラエルのベンチャー企業Nanox社が、小型で低コストのスキャンシステムを開発しています。この企業に対しては、5G活用観点で韓国のSK Telecomが出資していく動きもあります。リモートでの簡易なCT画像スキャンが実現され、上述したAI画像診断と組み合わされることで、リモートで高速、正確な診断が実施されるような将来像が見えてきます。

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