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ニューノーマル時代に、AIは働き方をどう変えるか?
2020.06.17

With/AfterコロナにおけるAI技術の可能性第1回

ニューノーマル時代に、AIは働き方をどう変えるか?

著者 島田健一郎

 世界的な新型コロナウイルスの大流行により、緊急事態宣言下での外出自粛やソーシャルディスタンスへの配慮など、日本でも過去に例をみないレベルで社会の大きな変化を受け入れざるを得なくなりました。特に、働き方、教育、休日の過ごし方などでは、世代を問わずコロナウイルスへの迅速な対応が必要となっています。

 こういった新しい常識(ニューノーマル)に対して、AI技術を活用して業務効率化やウイルス感染リスクを低減する試みが注目を集めています。今回は、コロナウイルスを契機とした働き方や社会の変化に対して、A Iをどのように活用すれば社会が生産性を失わず、場合によっては高めていけるのかについて事例を交えながら解説していきます。

AIで「3密」を解消する方法とは?

 満員電車が、自粛宣言が発出された後にガラガラとなる映像を見た方も多いと思います。しかし自粛解除となった翌日から、元の満員電車の状態に戻る傾向も見え始め、密閉空間における接触リスクは再び高まっています。会議室における密室状態についても、このままだと元に戻ってしまう可能性があります。

 こうした中、AIが画像情報からソーシャルディスタンスの度合いを判定して、警告を発する取り組みが出てきました。4月には、ディープラーニングの著名な研究者Andrew Ngが設立したスタートアップLanding AIによる「ソーシャルディスタンス(人同士の距離)を判定するAI技術」が紹介され、注目を集めました。この技術では、人同士の距離が近いところには線が出ており、Bird View(鳥瞰図)ではそれを上から見た状態が表示されます。Landing AIは台湾の製造業企業Foxconn(ホンハイグループ)と連携して共同研究を進めており、今回のAI機能も今後工場などでの活用が見込まれています。

Landing AIによるソーシャルディスタンス(人同士の距離)を判定するAI技術

 日本企業側でも追随する動きは早く、警備・セキュリティAIシステムを提供するアースアイズ社がソーシャルディスタンスカメラサービスを、AIベンチャーのRidge-i社が映像解析サービスにおいて、「密接アラート機能」や「密集度判定機能」などを提供し始めています。

 ロボティクスも用いてソーシャルディスタンシングを促進する動きもあります。シンガポールの事例では、公園内でBoston Dynamics社のロボット犬を活用し、人が集まっているときにはアラートを出すトライアルを実施しています。現在の段階ではロボット犬を人間が操作し、アラートも人間がチェックして出す形式となっていますが、今後はAI技術との組み合わせによる自動化が期待されます。

 さらに進んだ事例としては「5Gパトロールロボット」があります。中国Guangzhou Gosuncn Robot社が台湾系Advantec社の技術などを活用して開発した5Gパトロールロボットは、空港やショッピングモールなど公共施設におけるCovid-19対策を進めています。このロボットは、画像解析技術を用いたマスク着用チェックや体温モニタリングのほか、自動運転も可能となっています。チェックに引っかかる人がいた場合には、アラート情報が施設の担当者などに通知される仕組みも備えており、ロボットとAIを組み合わせた自動化技術として、先進的な取り組みと言えます。

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