エッジコンピューティングを支える主な技術要素としては、仮想化技術、分散技術、ネットワーク技術が挙げられます。
仮想化技術は、様々な機能を様々なハードウェア上で容易に動作可能とします。ネットワーク機能仮想化の手段としてはVM (Virtual Machine)が長年使われてきましたが、近年では、「コンテナ」が広く認知されるようになりました。コンテナは、性能やポータビリティ(可搬性)の面でVMより優れており、IoTや5G向け機能などの新規開発機能で対応が進んでいます。とはいえVMも、OSの自由度が高いために、既存機能の仮想化では依然として幅広く活用されています。
分散技術は、エッジコンピューティング環境上で動作する分散配置された機能群の管理や協調動作を支援します。これらを実現するためには様々なプロダクトがあり、最近ではオープンソースで実現しようとする営みや、標準化しようとする営みも行われています。最近では、コンテナベースの機能群のデプロイ・管理・スケジュールなどを自動化するオープンソースであるKubernetesや、機能群間のデータの一貫性や複雑な通信などの実装を簡素化するフレームワークなど、技術革新が急速に進んでいます。
ネットワーク技術としては、機能群間を跨って動的に通信経路を制御するためのSFC (Service Function Chaining)技術、用途別・利用者別などに最適なネットワーク品質を提供し分けるネットワークスライシング技術などが挙げられます。
本連載では、ニューノーマル時代における、場所・時間を超えたコミュニケーションを支える「ネットワーク基盤の技術動向」として、Disaggregation/オープン化/仮想化、ゼロトラストネットワーク、エッジコンピューティングを取り上げました。
企業ネットワークの変革スピードは、これらの技術によって、今後も加速することが予想されます。これらの技術革新の力が、変革を下支えし、より快適で便利で安全なワーキングスタイルを実現していくことを信じ、私も技術者として貢献できればと思っています。
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