NTTコミュニケーションズ

Bizコンパス

DXの潮流、CDOの挑戦
2021.02.12

INDUSTRY REVIEW~業界有識者が「DXの現在と未来」を語る第9回

製造業がDXで生き残る道とは?八子知礼氏とエバンジェリストが対談

著者 Bizコンパス編集部

 新型コロナウイルスの影響で、ビジネスシーンには大きな変化が起こっています。特に、製造業は打撃を受けており、昨年の緊急事態宣言下では、出勤停止などで広範にわたる工場が操業停止。グローバル製造業では、中国から始まったサプライチェーンの破綻によって納期遅延や機会損失が発生しました。

 こうした事態を受け、政府は企業の海外生産拠点の国内回帰を支援。2020年度第1次補正予算で補助金に2200億円を計上しています。しかし、海外と比べて人件費が高くなることや人材確保の課題もあり、工場のロボット化や自動化、IoT化などによる生産効率の向上、コロナ禍で課題となった遠隔操業といった取り組みも必要になっています。

 このような課題に対して、日本の製造業は、どのように対処すれば良いのでしょうか? DXをはじめとするデジタルの力は、製造業にどのように貢献できるのか、多くの国内製造企業のDXを支援する株式会社INDUSTRIAL-X代表の八子知礼氏と、NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)のエバンジェリストである林雅之氏が対談しました。

日本の製造業が“DXを諦めてしまう”理由とは

林:製造業は日本において伝統的な産業であり、歴史がある分、レガシーシステムが残存していることが課題となるケースも多いと思います。残っているレガシーシステムをうまく運用していかなければならないことが、DXを進める上での足かせになっている面があり、新しいことにチャレンジする、あるいはビジネスモデルを新たに生み出そうとしても、なかなか前に進めないといった状況に陥っていると考えています。

NTTコミュニケーションズ株式会社
エバンジェリスト
林雅之氏

NTT Comデータプラットフォームサービス部にて広報、マーケティング等を担当。国際大学GLOCOM客員研究員。総務省 AIネットワーク社会推進会議 構成員(2016-2018)。経済産業省 データ流通及びデータプラットフォームのグローバル化に関する研究会 招聘委員(2018)。一般社団法人クラウド利用促進機構 総合アドバイザーなども務め、クラウドを中心にDXの推進に寄与する活動に積極的に取り組んでいる。

八子:林さんが言うように、デジタル化を推進しようとすると、古い設備や古いシステムなど、フィジカルなものがボトルネックになってしまいます。とはいえ、製造業のDXは、デジタルとフィジカルとヒューマンが相互に関係しています。

 たとえば、設備や機器などを新しいビジネスモデルに適合させるための投資、それにともなう業務プロセスの変革、経営陣や現場のマインドセットやスキル教育、少子高齢化によって人材がひっ迫し、流動化していくことへの対応といったことです。

 これらは同時に解決をしていかなければいけませんが、「リソースが足りない」「コストがかかりすぎる」といったさまざまな“言い訳”によって、取り組みが一向に進まないデッドロック(手詰まり)の状態になってしまいがちです。政府が補助金をだしてコスト面を支援しても、企業自身が根本的な課題を理解していないと正しいアプローチもできません。

株式会社INDUSTRIAL-X
代表取締役
八子知礼氏

松下電工(現パナソニック)、アーサーアンダーセン、デロイトトーマツ コンサルティングを経て、2014年シスコシステムズに移籍。一貫して通信/メディア/ハイテク業界中心のビジネスコンサルタントとして新規事業戦略立案、バリューチェーン再編等を経験。2019年4月にINDUSTRIAL-Xを起業。2020年8月DXYZ(プロパティエージェント子会社)社外取締役、同年10月より広島大学AI・データイノベーション教育研究センター特任教授。

林:そういった現状を打破するために、八子さんは現場でどういった取り組みをされていますか?

八子:DXは、本質的には「デジタル」よりも「トランスフォーメーション」(変革)が重要です。そのトランスフォーメーションした後の姿がイメージできていなければ、現場の方は腹落ちしないでしょう。

 そのため経営陣と現場の人たちどちらにも、デジタルによって大きく変わっている企業の姿、デジタルに取り組まず、時代の波に“侵食されている”企業の姿、他業種から製造業に参入してビジネスしようとしている人たちの姿、の3パターンを説明しています。それにより、現状を知ってもらい、理解を深めていただくというアプローチしています。

 一方で、目指す姿がなくても、トライ&エラーでいろんなことにチャレンジしている企業もあります。その中で新しい仕組みを見出したり、外部のパートナーなどを巻き込んでうまくDXを推進していたりするケースもあります。DXを進めている会社とそうでない会社の分水嶺は、そういったところにあると感じています。

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