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Bizコンパス

DXの潮流、CDOの挑戦
2020.10.09

INDUSTRY REVIEW~業界有識者が「DXの現在と未来」を語る第8回

モノだけを売る時代は終わった。データで“体験”が生み出せるか?慶大・宮田裕章教授に聞く

著者 Bizコンパス編集部

“マイノリティ”を切り捨てる社会でいいのか

――データ活用は今後も重要な役割を担う存在であることがわかりましたが、特にどの分野において、データの重要性が高まっているのでしょうか

宮田:医療業界のみならず、全産業において、「公衆衛生」や「医療」、「ヘルスケア」という観点からのデータ活用が重要な軸になったといえるでしょう。

 たとえばアップルでは、ティム・クックCEOが「人類に対する最大の貢献は健康」と公言し、Apple Watchで手首から心拍数を測り、そのデータをもとにiPhoneでユーザーが健康管理できるといったヘルスケアビジネスの展開を始めています。

 少し話が変わりますが、世界的に見て、コロナ以前のビジネスシーンでは「スマートシティ」というワードが注目されていました。要は、テクノロジーを活用して、インフラ・サービスを効率的に管理・運営し、より便利で発展する街を作っていこうという考え方です。

 こうした発想そのものはとても重要なのですが、まちづくりを牽引するのは一部の強者となりがちでした。イノベーションを起こしたい強者が牽引する、つまり、“勝ち組がさらに勝つ”ための取り組みになりやすいというわけです。新型コロナウイルスは、“勝ち組以外”、言うなれば、社会に置き去りにされた、格差に苦しむマイノリティを中心に蔓延しました。

 たとえばシンガポールでは、外国人労働者の感染拡大が問題視され、アメリカではアフリカ系アメリカ人の死亡率が高くなりました。日本でも“夜の街”での感染拡大が話題となり、一部のメディアでは感染拡大の責任を若者に転嫁する声も聞かれました。

 もし、これからの都市は彼らのような “強者ではない人々”も包摂した上で、パブリックヘルス(公衆衛生)という概念、健康という価値軸を加えないと、未来への構想を前に進めることができないでしょう。再びコロナウイルスやそれに類するウイルスが社会に蔓延してしまえば、都市が目を背けていた格差から感染が広がり、経済だけでなく多くの人のいのちが危険に晒されます。

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