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Bizコンパス

DXの潮流、CDOの挑戦
2020.04.24

INDUSTRY REVIEW~業界有識者が「DXの現在と未来」を語る第5回

製造業が直面「若手への技術継承」問題をどう解決する?東大・朴准教授に聞く

著者 Bizコンパス編集部

暗黙知・オペレーション・人材をデジタル化すべし

――ここまでの話をまとめると、日本では昔からすり合わせアーキテクチャが採用されており、従来はその「暗黙知」をOJTで継承してきたものの、ベテランの定年退職により、技術継承が難しくなっている、ということですね。朴先生はこの状況を、どのように解決すべきと考えていますか?

朴:まずは、ベテランと呼ばれる人たちの暗黙知をデジタル化し、データベースとして蓄積していくことが重要だと考えます。

 日本ではこれまで、すり合わせアーキテクチャでものづくりを進めてきたことで、ベテランと呼ばれる人たちの中には暗黙知がたくさん蓄積されています。それこそが、日本の製造業の強みでしょう。

 しかし、前述したように景気変動によって採用者数が時代によって大きく異なることになり、年齢分布がいびつな形になってしまいました。このため、スムーズに暗黙知を伝承するための土台が失われている状況です。

 そもそも人の頭の中にしかないナレッジは「個人知」だと言えます。これをデータベース化することができれば、「組織知」として、会社の財産として活用することが可能です。組織知をどうやって構築するのか、あらためて考えるべきです。

――暗黙知のほかに、デジタル化すべきものはあるでしょうか?

朴:「オペレーション」「人材」のデジタル化にも取り組むべきです。

 ものづくりは複雑になればなるほど、サプライヤーなどパートナーとの連携も複雑になります。こうしたサプライチェーンに加え、最終的に製品を届ける顧客の存在も考慮しながら、ものづくりのエコシステム全体をデジタル化するのです。

 この際、利用する個々のシステムをつなぐインターフェイスも考えるべきです。たとえ1箇所でもインターフェイスが取れない状態であれば、そこに情報のよどみが発生します。

 サッカーで例えれば、フォワードとディフェンスの選手がいくら素晴らしくても、その間をつなぐ中盤の選手の能力が低くては、チームとして高いパフォーマンスを発揮することはできません。それと同じで、全体の情報がつながっているのか否かが見分けられないといけません。

 「人材」については、AIをどう自社のプロセスに入れ込んでいくのか、AIの知能レベルを高めるための運用ができる人材をどう育てていくのか、というレベルまで求められます。具体的には、システムアーキテクト(システム開発・設計を行う、上流工程を担当するIT技術者・エンジニア)の人材が不足しています。

 以前、先進的な取り組みをしている製造業を調査したとき、機械工学や電気工学、ソフトウェア工学の人材はいるものの、それらをまとめて見ることができる人材がいないことがわかりました。そうした人材がシステムアーキテクトであり、彼らをどのように育成するかも、今後は重要になるでしょう。

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