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DXの潮流、CDOの挑戦
2020.03.18

INDUSTRY REVIEW~業界有識者が「DXの現在と未来」を語る第4回

「熟練の技を学ばないと、AIはどんどん馬鹿になる」中京大・輿水名誉教授

著者 Bizコンパス編集部

部課長ではダメ、若手のDX人材を育てるべき

――とはいえ、先端技術の実用化には、産官学の連携が不可欠です。企業が大学研究室などの連携を考えたとき、どういったことに注意すべきでしょうか。

輿水:研究者の立場から言えば、企業は、仲間同然に研究者をプロジェクトに引き入れることが大切になります。研究者に工場などの現場を見せるなど情報をオープンにすることです。そうでなければ、いくら投資をしても出来ることが制限されてしまいます。

 企業がデジタル技術を扱う上での課題もあります。業界の傾向としては、私の目から見ると、とりわけ深刻なのは「企業内にそれが分かる人材がほとんどいない、もしくは育成の組織がない」ことです。特に機械学習や深層学習といった領域においては、ほぼ若い人の独壇場ですが、そうした人材を採用や育成できる企業は限られます。そうすると研究室などからのアウトソーシングに頼らざるを得ません。

 しかし、アウトソーシングだけでは、企業の体質を変えることは難しいのです。私たちのKIZUKIアルゴリズム開発プロジェクトでは、企業側からも若い人材を必ず入れることを要求していました。トヨタ自動車もプロジェクト発足当初は、社内に画像AIソフトを使える人材がいませんでしたが、ソフト購入と若手のアサインを要望しました。これからの時代に、企業のDXを担っていくのは若手です。テクノロジーへの感度が不足している部課長クラスの年代の方だけでは、現場はダイナミックに動きません。

――企業の体質を変革するには、プロジェクトを通じて企業内にノウハウをためて、トランスフォーメーションを起こすDX人材を育てていくことが必要ということですね。

輿水:その通りです。一部の企業では、技術者不足を解消するため、大学の研究者を引き抜き、研究機関を設立するといった動きも始まっています。研究者からすると、大学では学生の管理や教授の下請的な仕事などもあって忙しく、研究に十分な時間を割くことができない。そこで、大学ではなく民間企業で研究を続けるという判断です。しかし、このやり方では急場はしのげても、企業体質を変革するDX人材の継続的な育成にはつながりません。

 技術によってビジネスの仕組みを変えるだけでなく、まずデジタルに即応できるように組織を変容する。それが本物のDXにつながると私は考えています。

――本日はありがとうございました。

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