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DXの潮流、CDOの挑戦
2020.03.18

INDUSTRY REVIEW~業界有識者が「DXの現在と未来」を語る第4回

「熟練の技を学ばないと、AIはどんどん馬鹿になる」中京大・輿水名誉教授

著者 Bizコンパス編集部

 匠の技をディープラーニング(深層学習)で継承し、技術者の不足を解決する。国内のものづくりの現場では、団塊世代の技術者引退による人材不足、技能継承が大きな課題となっており、AIやIoTなどのデジタル技術による解決が期待されています。

 しかし、中京大学で人工知能高等研究所所長を務めた輿水大和名誉教授(合同会社YYCソリューションCEO)は、「熟練技術者の勘や経験を正確にデータ化できないと、AIはどんどん馬鹿になる」と、品質の悪いデータを学習させることでAIの精度が低下する、“ディープラーニングの水増し問題”が起きることを指摘します。

 輿水氏は、そういった課題に向き合い、トヨタ自動車や愛知製鋼などとともに、2012年に画像認識技術による外観検査法「傷の気付き(KIZKI)アルゴリズム」を開発。特許技術として、現在も製造現場で稼働しています。

 なぜ「KIZKIアルゴリズム」は実用化に成功したのか? 製造業は最先端のテクノロジーをどう活用すればよいのか?輿水氏に、DX推進のヒントを聞きます。

熟練検査員の“目の動き”をアルゴリズムで再現した

――「KIZKIアルゴリズム」は、生産技術にかかわる画像処理応用技術を発表する「ViEW 2012」で最優秀論文賞 小田原賞を受け、2017年にはグランド小田原賞、JSPE技術賞を受賞するなど高く評価されています。製造過程で部品の傷や欠陥を見つけ出すアルゴリズムとは、どのようなものなのでしょうか。

中京大学 名誉教授
合同会社YCCソリューション代表
輿水大和氏

輿水:ものづくりの現場では、専門的な訓練を受けた検査員が製品の傷や欠陥を見逃さないように目視検査を行っています。画像検査装置の導入も進んでいますが、検査対象ごとに市販の装置を変えたり、独自の検査システムを開発したりと、手間もコストもかかり汎用性に欠けることが課題でした。

 他方、目視検査では、一人の検査員が小さな傷、形状や画像のコントラストなど実に様々な違いを簡単に発見することができます。「KIZKIアルゴリズム」は、そうした人による検査のメカニズムに着想を得たものです。

 私たちは、人が傷を発見する際に、「俯瞰的に見る(周辺視)」と「目をよく動かしながら見る(固視微動)」という2つの目の動きを併用していると考えました。「傷の気付きアルゴリズム」では、周辺視と固視微動を学習した画像処理を行うことにより、形状異常やシミ、汚れ、引っかき傷といった、多様な性状の傷の検査に対応し、非常に汎用的な性能を持っています。これにより、検査プロセスを大幅に省力化することができるのです。

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