DXの潮流、CDOの挑戦
2020.03.04
INDUSTRY REVIEW~業界有識者が「DXの現在と未来」を語る第2回
流経大・矢野教授「トラック積載率は40%、物流のIT化は非常に遅れている」
著者 Bizコンパス編集部
トヨタのジャストインタイムは「先を読んだロジスティクス」
――物流でのIT化の遅れは、サプライチェーン全体の問題ということですね。そのような課題を、どう解決していくべきなのでしょうか。
矢野:私がいつも言っているのは、「先を読んだロジスティクス」に変換するべきだということです。現状は、「計画性がなく、場当たり」のロジスティクスです。メーカーと卸、小売りの情報連携が不十分なので、計画的に在庫や配送トラックを準備することができないのです。今の物流トラックの積載率を知っていますか?4割です。荷台の半分以上を空にした非効率な輸送をしているわけです。
そうではなく、「来週はこれくらいの製品が必要になるから、トラックをこれくらい待機させておこう」と事前に計画できる「先を読んだロジスティクス」に転換できれば、輸送効率を改善できます。
たとえばトヨタ自動車では、必要なものを必要なときに必要な数だけつくる「ジャストインタイム」と呼ばれる生産方式が取り入れています。このジャストインタイムでは、取引先に対して短いリードタイムで、納品する時間を細かく指定していますが、情報は事前に提供されているので成り立っている。前触れなく「1時間後に納品してくれ」という仕組みではないのです。
要は最初に計画があり、その情報がきちんと物流にまで共有されていれば何の問題もない。このように先を読むことができるロジスティクスが実現すれば、物流は大きく変わることができるでしょう。