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DXの潮流、CDOの挑戦
2020.02.26

INDUSTRY REVIEW~業界有識者が「DXの現在と未来」を語る第1回

法政大・西岡教授「製造業の未来は“匠の技”のデジタル化にかかっている」

著者 Bizコンパス編集部

企業間での「ゆるやかな標準化」を目指す

――そういった課題に対して西岡教授が2015年に立ち上げた、プラットフォーム「インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)」は、日本のものづくりの視点からスマートファクトリーなどの実現を目指しています。設立の経緯を教えてください。

西岡:インダストリー 4.0では、設備投資などの視点から語られていたデジタル変革を、日本ならではの「現場からのデジタル変革」として、世界に逆提案をしたのが「IVI」です。キーワードは「つながる」、そして「ゆるやかな標準化」です。IVIでは、異なる企業間で工場と工場を連携させる仕組みの仕様策定を進めていますが、最初から現場のデータを不特定多数で共有するのはハードルが高い。そのため、データの種類によって、関係ある企業や工場にだけ共有できる仕組みとなっています。

 具体的な仕様としては、2020年3月に、接続時の共通APIの定義などをした「Connected Industries Open Framework(CIOF)」を公開しました。実装フェーズでは、国の研究開発プロジェクトとして現在取り組んでいます。さらに企業間で「つながる」ためのベースとしては、テクノロジーだけではなく、「人と人が気持ちでもつながる場」として、IVIで「業務シナリオ」と呼んでいる累計で100を超えるワーキンググループ活動があります。

――データを共有した取り組みにはどのようなものがあるのでしょうか。

西岡:システムの開発や改善を自社だけで行うのではなく、外部も巻き込んでプロジェクトを進めるメーカーが出てきています。すべての情報をプロテクトするのではなく、最先端の企業機密は見せず、一般的な工場の生産データは、外部に提供する企業も増えています。そうすることによって、現場の改善につながるデータや知見を効率的に得られるからです。複数のベンダーが実証実験(PoC)で腕を競い、良好な結果が出たらベンダーと契約するといったケースもありますね。

経営層は「技術をデジタル共有できる」仕組みづくりを

――日本の製造業が、「つながる」「ゆるやかな標準化」によってDXを実現するには、どういった課題を解決する必要があるのでしょうか。

西岡:もっとも重要なものは、AIやIoTなどのデジタルテクノロジーを現場で活用していく環境づくりです。たとえば、AIや自動化のロボットがいくら安く手に入っても、AIにデータを与えて教育する人材や製造ラインを自動化する生産技術者がいなければ、何も変えられません。そういった仕組みがないままに、デジタル化による生産効率化といったタスクが経営層から現場におりてきても、何をやっていいのかわからないのは当然です。

 とはいえ、仕組みづくりは大げさなものではないのです。製造の現場では、ベテランが自分のノウハウを後輩に教えるのは当たり前のように行われています。それがアナログからデジタルになるだけの話です。昨今では、そういったノウハウの一部は、キーボードで打ち込んでドキュメント化しなくても、IoTが自動でデータ化してくれます。

 経営層は、「ノウハウと技術をデジタル共有できる仕組みづくり」に最優先で取り組むことです。工場の稼働時間に比例した生産性や、設備投資の減価償却など、物理なモノの世界にしばられたビジネスから脱却していかなければなりません。

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