NTTコミュニケーションズ

Bizコンパス

DXの潮流、CDOの挑戦
2020.02.26

INDUSTRY REVIEW~業界有識者が「DXの現在と未来」を語る第1回

法政大・西岡教授「製造業の未来は“匠の技”のデジタル化にかかっている」

著者 Bizコンパス編集部

ノウハウの“独占”によって、町工場が淘汰される

――オートメーションやマスカスタマイゼーションで世界をリードしていた日本の製造業のデジタル化が進まない背景には、どのような課題があるのでしょうか。

西岡:重要なのは、業界の関係者が自社の利害にとらわれず、一致団結して業界のデジタル変革につなげることです。日本の製造業では企業秘密を守るために、工場に外部の人材を招かない、情報を開示しないという自前主義が色濃く残っています。サプライチェーンを形成する系列企業間でつながる仕組みはありますが、強固な連携で外部を寄せ付けない。そうなると、情報やノウハウのガラパゴス化が起こり、世の中の変化に対して柔軟に対応できず、時代に取り残されてしまいます。

 一般論として、デジタルには「富の一極集中」が起きやすい性質があります。ものづくりの世界で考えると、日本の町工場で職人が生産しているネジや筐体だって、部品の種類や加工時の機械の回転数やスピードといったノウハウをデジタルでフォーマット化すれば、日本の町工場でなくても作れてしまうようになります。

 製造業に限ったことではなく、データや知財は流動性が高いんです。今後、個人が持つノウハウや勘やコツなどは、機械学習などテクノロジーの進歩によってどんどんデジタル化されていくはずです。もちろん、品質面で不良品率の低さなど職人の技術や経験をすぐに超えることは難しいでしょうが、デジタル化によって安く早く大量に生産できるようになれば、多少の品質低下はカバーできてしまいます。

 そういった中で、自社の利害にとらわれて業界内でのノウハウ共有が行われない状況が続くと、海外のメガプラットフォーマーがスケールメリットによってマーケットを独占するようになり、国内の町工場はどんどん淘汰されてしまいます。生産コストを下げるために大手メーカーが生産拠点を海外に移す動きもありますが、これも町工場をはじめとする国内製造業のノウハウのデジタル化を妨げています。

SHARE

関連記事

三菱ケミカルHD浦本CDO「製造業DXは、現場改善と全体変革の“両利き”で加速する」

2021.04.23

INDUSTRY REVIEW~業界有識者が「DXの現在と未来」を語る第10回

三菱ケミカルHD浦本CDO「製造業DXは、現場改善と全体変革の“両利き”で加速する」

“センスのなさ”から始める「発注力」の重要性

2021.04.20

IT&ビジネスコラム第2回

“センスのなさ”から始める「発注力」の重要性

コロナ禍の「会えない」はセールス・マーケティングの変化をどう加速させたか

2021.04.19

ニューノーマル時代にビジネスはどう変わるのか第27回

コロナ禍の「会えない」はセールス・マーケティングの変化をどう加速させたか

【激白】NTT Comの“危機感”とDX事業の勝ち筋

2021.04.15

IT&ビジネスコラム第1回

【激白】NTT Comの“危機感”とDX事業の勝ち筋

横河電機が推進する“インターナル”と“エクスターナル”両輪でのDXとは

2021.04.14

デジタルトランスフォーメーションの実現へ向けて第64回

横河電機が推進する“インターナル”と“エクスターナル”両輪でのDXとは

岸博幸氏が語る「スマートシティは“課題先進国”日本を変革する処方箋になる」

2021.04.07

ニューノーマル時代にビジネスはどう変わるのか第25回

岸博幸氏が語る「スマートシティは“課題先進国”日本を変革する処方箋になる」

味の素社のDX戦略「規模を追う経営から、DXで社会を変革するパーパス経営へ」

2021.04.02

デジタルトランスフォーメーションの実現へ向けて第63回

味の素社のDX戦略「規模を追う経営から、DXで社会を変革するパーパス経営へ」

勘と経験だけではもう通用しない。スポーツ界のデータ分析最前線

2021.03.31

これからの時代に求められるデータ利活用第9回

勘と経験だけではもう通用しない。スポーツ界のデータ分析最前線

IT部門の変革によりDXを加速!起爆剤となる「マネージドサービス」とは

2021.03.26

DXを加速させるITシステムの運用改革第38回

IT部門の変革によりDXを加速!起爆剤となる「マネージドサービス」とは