NTTコミュニケーションズ

Bizコンパス

DX推進の軸となる「データレイク」とは?データウェアハウスとの違いは?
2020.10.14

これからの時代に求められるデータ利活用第6回

DX推進の軸となる「データレイク」とは?データウェアハウスとの違いは?

著者 亀井聡

伝統ある企業でもデータレイクは導入できる

 データレイクのこのような考え方は、デジタルネイティブ、クラウドネイティブと呼ばれるような背景を持つ会社にとっては、相性が良いと考えられます。

 たとえば、ウェブアクセスの履歴やクリックタイミングなど、デジタルデータは直接的にビジネスから得られますし、データを加工するソフトウェアエンジニアも大量に抱えていることが多いでしょう。ターゲットとなるKPIも、広告のクリック率や課金といったエンゲージメントなど、その効果がはっきりしています。

 一方で、製造業をはじめとした伝統がある企業や、デジタル化が進んでいない企業には、ハードルが高いのは事実でしょう。しかし、DX ではここを超えることが求められているのです。

 そうした企業でもデータ活用ができるよう、もう少し丁寧にデータレイク利用のプロセスを追ってみましょう。

 ソフトウェアエンジニアを潤沢に抱える企業であれば、データレイクからデータを加工して、API で渡せるようなミドルウェアを組み、それを直接操作するようなウェブアプリを開発することで、タイムリーに分析をしたり、顧客が直接利用するシステムに接続するといったことも可能でしょう。GAFA を始めとしたクラウドネイティブ企業は、このようなデータ利用をしているのです。

 一方で、従来業務が多く残る企業では、最初のステップとしては、まずはデータレイクからある程度利用しやすく変換したデータ(データマートと呼ばれます)を抽出し、それを元にエクセルやBIツールで可視化をする、といったやり方が適切でしょう。これなら現在DWHで実施している業務とのギャップは少なく、最初の時点では、変換ロジックを外出しで開発することもできそうです。

 実現できることは、DWHでできていたことと大きく変わらないのですが、集めたデータを別の目的に再利用できる点、変換ロジックがソフトウェアとして交換可能となるので、チームの実力に応じて内製に切り換えられる点は、大きな違いになってきます。加えて、これまでは別々のシステムで開発していた変換ロジックを、汎用基盤に束ねることができれば、そのコスト削減メリットも大きくなります。

 このようなデータレイクをオンプレミスで組む場合は、 HadoopやSpark といった大規模分散処理システムを利用します。クラウドで組む場合は 、Googleだと BigQuery、Amazon だとAthena、MicrosoftだとAzure Data Lake等が用意されています。UI の差は大きいですが、どれも基本的な技術は共通しているので、これらの上で組んだロジックの移植は比較的容易です。

 今回は、DX におけるデータ分析の中核となるデータレイクについて、実際のプロセスとあわせて解説しました。DWHからデータレイクに移行することで、分析施策の立ち上げは簡単になり、試行錯誤の自由度が増す一方で、分析者に求められるスキルは上がるという点に注意する必要があります。

 次回は、NTTコミュニケーションズにおけるデータサイエンスチームの立ち上げを追いながら、伝統的な会社がDXをその組織内に取り込む際の課題を解説します。

※掲載している情報は、記事執筆時点のものです。

SHARE

関連記事

デザイン思考は、イノベーションを生みだす魔法の杖ではない

2021.07.21

ニューノーマル時代にビジネスはどう変わるのか第31回

デザイン思考は、イノベーションを生みだす魔法の杖ではない

企業にCDOが求められる3つの理由

2021.07.16

ニューノーマル時代にビジネスはどう変わるのか第30回

企業にCDOが求められる3つの理由

インフラ試験の継続実行は、本当に必要なのか?

2021.07.02

DXを加速させるITシステムの運用改革第41回

インフラ試験の継続実行は、本当に必要なのか?

有識者が解説する「誤解だらけのサブスクとDXの関係性」

2021.06.25

デジタルトランスフォーメーションの実現へ向けて第68回

有識者が解説する「誤解だらけのサブスクとDXの関係性」

ゼロトラストを目指し境界防御から無害化に、ネオファースト生命はどう移行したか?

2021.06.16

セキュリティ対策に求められる新たな視点第24回

ゼロトラストを目指し境界防御から無害化に、ネオファースト生命はどう移行したか?

JALは新しいナレッジシステムで、次世代のコンタクトセンターを目指す

2021.06.11

いま求められる“顧客接点の強化”第36回

JALは新しいナレッジシステムで、次世代のコンタクトセンターを目指す