NTTコミュニケーションズ

Bizコンパス

DXの潮流、CDOの挑戦
2021.07.07

共創によるビジネスイノベーション第9回

企業のDXを動かす“キーワード”「スケールフリーネットワーク」が、いま日本の大企業に効く理由

著者 Bizコンパス編集部

大企業に眠る「宝の山」を生かすには?

戸松:DX2回戦で勝つためのリソースとして、著書では東芝に来て気づいた「宝の山」について触れていらっしゃいました。

島田:うまくつなげることができれば、ものすごくイノベーティブな事がおきる「宝の山」のような技術と人と知見が、東芝のような伝統的な企業にはまだまだあると思っています。

 東芝の場合、社内にマイクロRNAを使った高性能のがん検診の技術があり、加えて世界で3番目のAI関連の特許出願数となっている(2019年1月のWIPOレポートより)。こうした領域の掛け合わせで「技術のビオトープ(野生動物の生息空間)」と呼べるような貴重な場を持っている企業はまだまだあるのではないでしょうか。

戸松:私たちNTTグループも同じかもしれません。また、このC4BASEに参加してくれている方々も、同じようなビオトープをそれぞれの企業に持っているように思います。

島田:すこし乱暴な言い方になるかもしれませんが、欧米の企業の多くは、こうしたビオトープを自前ではもうほとんど持っていません。自前の研究所や研究費に予算を割くことは短期的な利益につながらないように見えてしまうため、株式市場では評価しづらい。欧米の企業は「選択と集中」の結果、こうした研究所を減らし、売上や利益に直結する領域に特化した、筋肉質の企業体がやたらと増えました。それは「多様性」とは正反対の動きです。

戸松:つまり、自社だけではイノベーションが起こりづらい形になってしまった。

島田:だからこそ他社とつながって「オープンイノベーション」を起こさざるをえなくなったとも言えます。

 しかし、日本は違いました。経営者が「あいつは天才だから」「切ったらかわいそうだし」とビオトープを残してきたんです。ただ、今はそれを眠らせていては意味がない。オープンにしてスケールフリーネットワークをつくる必要があります。 僕が東芝をはじめ、日本企業に強く押しているのは、「その宝の山をスケールフリーネットワークにつなぎ合わせて、DX2回戦を勝ちましょう」ということです。

戸松:とはいえ、東芝社内の意識を変えること自体、大変だったのでは?

島田:それはもう、私は3ヶ月で200回くらい社内プレゼンをしましたよ。取締役会から、地方の工場まで語り続けました。先ほどの「虚構」ではないですが、大勢の人が同じ方向を見るため、一人ずつに語り続けました。

戸松:効果はありましたか?

島田:はい。最初は「島田さんの言っていることはさっぱりわからん」と言われたのに、何回かやるうち、変わっていきました。スケールフリーネットワークの意義もDXの定義も、理解するだけではなく「自分たちはプラットフォーマーになるんだ」と言葉に出始めています。

戸松:C4BASEには、まさに社内をどう変えるか、「宝の山」をどう活かすかに、頭を悩まされている方が多いと思います。

島田:インフラを扱う企業やハードウェアを持つ企業ほど、少し失敗するだけで世間から叩かれてしまうので、慎重で保守的になってしまうのは致し方ない面もあります。少しの失敗は気にしない傾向にあるソフトウェアを扱う企業のスタンスとは溝があります。

 しかし、DX2回戦のIoTの勝負は、ハードウェアやインフラを扱う企業と、ソフトウェアを扱う企業がスケールフリーネットワークでつながらないといけません。多様性がイノベーションを生むんですから。いずれにしても、伝統的なものづくり企業やインフラ系企業がスケールフリーネットワークを実現したら変わるはず。日本企業のポテンシャルをもう一度解き放つことにつながると思っています。

戸松:島田さんは話の節々に「日本のため」「世の中のため」という大義の意識がとても強いと感じます。それはオープンな、スケールフリーネットワークをつくるうえでも大切なことなのでしょうか?

島田:そうですね。私個人の原体験でいえば、司馬遼太郎や吉川英治といった歴史小説を読んできた影響もある。過去の偉人たちはみな私利私欲ではなく、世の中のため、社会のためにとビッグピクチャーを描くからこそ、大きなことを成し遂げられました。

 正しさというか、愛というか、そういったものが私を突き動かしているし、スケールフリーネットワークを形づくるときのファクターとしても大切な気がします。

戸松:イベント当日は、具体的な会社の変え方やネットワークのつくり方から、「愛」の話まで伺うことができれば嬉しいです。本日はありがとうございました。

島田:ありがとうございました。イベント当日が楽しみです。

『スケールフリーネットワーク ものづくり日本だからできるDX』著者、株式会社東芝CDOの島田太郎氏登壇!
C4BASE STUDIO LIVE「A step toward Smart World ~Reconceive 共創成功の鍵はスケールフリーネットワーク〜」

日時:2021年7月14日(水)13:30-15:10
場所:オンライン
※13:15からアクセス可能。定員に達し次第、申込受付を終了する場合があります。

こんな方におすすめです!
・ものづくり日本が進めるべきDXについて知りたい方
・社内でのDXの進め方についてヒントを得たい方
・ビジネスモデルの方向転換を考えられている方
・デジタル×フィジカルの世界になったときの戦略・ヒントを求めている方

こちらより、ぜひお申し込みください!
※お申し込みには会員登録が必要です。

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