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DXの潮流、CDOの挑戦
2021.06.04

共創によるビジネスイノベーション第7回

なぜ日本の“強い現場力”が、DXの足かせになるのか?『Why Digital Matters? ー“なぜ”デジタルなのか』著書・村田聡一郎さんインタビュー

著者 Bizコンパス編集部

日本語が“DXの壁”になるたったひとつの理由

戸松:村田さんはドイツに本社を置くERP(基幹システム)パッケージソフトの世界最大手企業・SAPジャパンに所属されています。世界から日本だけが遅れ、デジタルを走らせないジレンマをいっそう実感されてきたわけですよね。日本企業の多くが頑なに「ヒトではなくデジタルを走らせる」ことを拒んできた理由は、“強い現場力”だけだったのでしょうか。

村田:もう一つの大きな壁は「日本語」ではないかと思います。

戸松:日本語、ですか?

村田:ええ。「IoT」の訳として「モノのインターネット」という単語を見たとき、違和感ありませんでしたか?Thingsにはモノもコトも含みますし、Internetとはinter-networkingつまり“相互接続”を指していますから、本来は「モノ・コトの相互接続」と訳すべきだったんですが、日本人の多くが「モノ」が「インターネット」につながる話だ、と狭く受け取ってしまった。ところが、日本語を使っているのは、ほぼ日本人だけなので、その認識違いを日本人以外から指摘してもらえる可能性はほぼありませんよね。

 日本企業は社内公用語がほぼ日本語なので、特に経営層に近づくほど、ほぼ日本人だけで占められます。また上位職ほど生え抜きであることが多く、要は自社のことしか知らないことが多い。したがって自社が、非効率な経営をし続けていたり、他国ならありえない古い仕組みを使い続け、結果的にそれが競争力を阻害していたりしたとしても、指摘される機会が極端に少ないわけです。

戸松:僕は日本企業でしか働いたことがないけれど、グループの外国人の同僚と話すと、目の前の現場の仕事に没頭して、成果をあげて、業績をあげて……なんて単純なリニアな目的意識だけで働いている人は少ない気がしますよね。

村田:その意味では、ドイツ人・ドイツ文化は日本との違いが際立ちます。ドイツ人は日本人に似ていると言われますが、真面目で勤勉なところは似ている一方、真逆なところが一つあります。それは「ドイツ人はとにかく働く時間が短い」ことです。OECDの統計によれば、日本人男性の平均年間労働時間を100とすると、ドイツ人男性は64。つまり時間でいうと2/3しか働いていません。ほとんどの企業で年間30日ほどの有給休暇の消化率はほぼ100%です。それでも先ほどのグラフのような成長率を維持している。これ、悔しくありません?

戸松:当たり前のように短時間労働への意識が高いんですね。だからこそ、限られた労働時間の投入量でなんとか業務をこなすしくみが必要になる。SAPのような「ヒトの代わりにデジタルを走らせる」発想が生まれやすいし、また受け入れやすいわけですね。

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