小野田氏は、現在実証実験中のため、まだ明確なビジネスモデルは決まっていないとしつつも、今回のプロジェクトで新たなネイル文化を創造したいと考えています。
「うまく塗れないセルフネイルの課題や高額で技術のばらつきがあるネイルサロンの課題を解決しつつ、いままでにない新たなネイルサービスを目指しています。アミューズメントパークやイベント会場、スタジアムといった施設限定のネイルや、ファッションやTPOに合わせて着替えられるネイルなど、新たなネイル文化を創造することが最終目標です。将来的には国内のみならず、欧米やアジアなどのグローバル展開も視野に入れています」

川島氏は、こうしたカシオの取り組みを、今後も総力を挙げてサポートしてきたいと語ります。
「ネイルプリンターを用いたアプローチが可能なC4BASEの会員様は少なくありません。たとえば大手のデベロッパー様や、エンターテイメント系企業様など、具体的に話が進んでいるケースも多々あります。こうしたC4BASEを通じて得られたご縁を大切にしながら、今後もカシオ様と一緒にネイルプリンターの魅力を伝えていきたいですね。
そしてビジネス化の際には、Subspherを軸とした課金の仕組みの検討はもちろん、将来的には、NTTグループのアセットなどを活用しながら、ワンストップでネイルプリンタービジネスの発展に寄与したいと考えています」
最後に、小野田氏は新規事業を創出するポイントを明かします。
「自社の強みとなるアセットを生かし、解決すべき本質的な課題を洗い出す。そして、仮説を立てて多くのパートナーを巻き込み、実証実験を重ね、ユーザーの声を聞き改善を行う。このようなPDCAをコツコツと回していくことが新規事業の創出の鍵となります。
さらに根本的なことですが、強い思いを持つことです。私は“長く歴史に残る製品や事業をつくりたい”という思いをもって仕事に取り組んできました。やはり強い信念がないと新しいものは生み出せません。
いくら多くのアンケートをとっても外の声からDXのヒントを発見することは困難です。じっくりと自分で、地道に考え続けるしか道はないのではないでしょうか」
化粧品メーカーや、C4BASEを通じたさまざまな業種の企業と共創し、新しいビジネスの創出に取り組むカシオ。早期事業化を目指す、カシオのネイルテックでのチャレンジは、きっと新しいネイル文化を世界に発信していくことでしょう。